「ワールドカップの日本チームを試合毎に分析すると、的確に相手のストロングポイントを'み、それに対しての対応策を打っていた事が分かる。つまり、分析力とそれを元に立てた戦術の実戦能力が極めて高かった事が原因だ」。
面白い。
岡田JapanとザックJapanの試合のデータを解析して、サッカー日本代表チームの特徴を浮かび上がらせた本。南アフリカのワールドカップや、優勝したアジア杯、アルゼンチンに1−0で勝った試合など、脳裏に残っている試合ばかりである。著者はスポーツデータの分析と配信を行う会社の社長。Jのチームや日本代表でも利用されているという。
サッカーファンなら当たり前に目にしているデータもあれば、あまりなじみの無いものもある。支配率、パス数、パス成功率、平均ポジション、ボールを奪ってから16秒以内のパス、アクチャルタイム。特に、それらのデータをフィールド上のエリアや時間帯及び他チームとの比較によって立体的に解説している点がよい。
カメルーン戦でのアクチャルタイムの短さとスローイン時間の関係。川島のゴールキックの方向が語るもの。データから読み解くフォーメーション変更の効果。本田のプレイエリアを活かした他の選手達の連動、特に松井との関係。長友の貢献。支配されてはいたがオランダのクロス成功率を大きく下げたこと。ベントナーへのパスの遮断。対戦相手達が日本に対してとった作戦。アジアでの戦いと欧州や南米の強豪との違い。オーストラリアとの戦いで鍵を握るCBの高さ。ザックJapanになってからの選手間の平均距離。
意外な結果はそれほど無い。しかし、読み進めるごとに、監督の戦術やチームの特徴が、すーっと浮かび上がってくるのに驚いた。なかなか凄い。TVで試合を見ていて思っていたことについて、より具体的で鮮やかな裏づけ証拠を次々見せてもらった感じである。あと、著者が指摘する「グループワーク」と「分析力」という日本代表の強みは、必ずしもサッカーだけに限らないな、と思った。
「データはあくまでデータであって解釈が重要なのだ」。
研究熱心な岡田監督に求められてW杯終了までデータを送り続けたという裏方的な貢献も加味し、5つ☆としたい。