「本業再強化」、コア事業への資源集中は、経営書のテーマとしては目新しいものではないが、コア事業をいかにして見極めるか、それをどのタイミングで行うか、などに成長の要因を見いだしていく著者の視点は興味深い。洞察力にあふれた内容で、企業成長の根本的な課題をあらためて浮き彫りにする。
全体は大きく分けて、コア事業の定義のしかたとその最大のポテンシャルを引き出す方法、その後の周辺事業への有効な展開、業界構造の変革に伴うコア事業の見直し・再定義の3つの観点から論じられている。特に「コア事業の境界線の曖昧化」「周辺領域の大幅な拡大」という状況を取り上げ、コア事業を市場支配力の形成という点から定義しようとする方法論は注目に値する。環境に則したより確かな成長戦略へのヒントが得られる。また「周辺領域」のマッピング、事業拡大の意思決定の評価、再定義のタイミングを計る「リトマス試験紙」など、各種評価ツールも役に立つ。
本書で紹介している大量の成功・失敗事例は興味深く、そこから導き出される成長の原則には説得力が感じられる。なかにはアメリカ特有の事情も見られるが、企業分割、事業買収などさまざまなケースが検証されていて実践的である。全体的に図解が少ない印象を受けるが、その一部はホームページに掲載されているようだ。
成熟した市場にあり、厳しい競争にさらされている企業は決して少なくない。そんな企業にとって、成長の源泉を「再発見」させてくれる本書は必読の1冊だといえるだろう。(棚上 勉)
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