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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
切なく楽しい,
By くま (岡山) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 本所しぐれ町物語 (新潮文庫) (文庫)
藤沢「市井物」の大傑作である。「市井物」の傑作で短編集というとまずは「橋ものがたり」があげられるが、これはまたそれとは一味違う。本所深川、架空の町「しぐれ町」を舞台に、気のいい大家、情報通の書役、夫婦仲が醒めてしまった中堅商人、大人ぶる少女、浮気妻を許してしまう職人、浮気の虫を抑えきれない若旦那、等々。ときには主役に、ときには脇役で出てくる町の人々を描いている。私たちは読んでいる間はしぐれ町の住人になる。そして、「切ない」人生を共に「楽しむ」のである。たとえば、胸の小さい若奥さんの話「乳房」が私にはとても切ない。おさよは夫に浮気をされてどうしても許す事ができない。飲み屋の主人おろくはそのおさよにこういう。「男なんてものは、土台そんなにりっぱなものじゃないんだよ。あんたが考えるほどにはね。そして今にわかるが…」「女だって、そんなにりっぱなものじゃないのさ。」おさよのくるくる回る感情が切なくて楽しい。
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
本所しぐれ町物語,
By
レビュー対象商品: 本所しぐれ町物語 (新潮文庫) (文庫)
短編集。一つの店の住人の生活が各話に流れるように組み込まれている遊びが楽しい。同じ登場人物を別の角度から眺められる。藤沢作品によく見られる、静かだが思わず吹き出してしまうようなおっとりしたユーモアが随所にちりばめられている。納められている一作一作は、食物に例えれば、小ぶりながら上品な和菓子のように嗜みつつ惜しみつつ楽しみたい作品ばかりだ。秋の夜長に床の中や居間でくつろいでゆっくり読むも良し、忙しい一日の始まる前や終わった後に、インテルメッツォとして通勤電車で読むも良し。いずれにせよ、疲れた頭を和ませてくれ、日本に生まれて良かったと思う瞬間を与えてくれる。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
しぐれ町の地図と人別帳ができそう,
By tomo1943 (茨城県つくば市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 本所しぐれ町物語 (新潮文庫) (文庫)
本所には「しぐれ町」という街はないのだそうだけれど、いかにもありそうなのは、大家の清兵衛さんや書き役の万平さんをはじめとした町内の人々がつぎつぎに登場する十二の物語が、いかにもありそうな出来事を情趣深く、自分もそこに入っていきたくなるように描いてくれる所為だと思う。三毛猫なんかは、蹴飛ばされたり、そっと道を横切ったりしながら、タイトルにまで四回も登場する。街と人を愛しく感ずるしみじみとしたオムニバス。この物語を読んで、しぐれ町の地図と人別帳ができそうな気がする。
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