以前話題になった、『本当は恐ろしいグリム童話』の第二作目です。今回は「グリム童話」のみならず、アンデルセンやワイルドの作品扱われていて、作者の研究対象が更に広がったようです。あの極めて大胆な解釈と生々しくて臨場感のある文体、刺激的な描写は相変わらず健在です。(収録された作品の中には、まるで別物みたいになっているものもあります。でも一つの話としては面白いです)。心理描写も丁寧で、物語の筋を追いながら自ずと登場人物の心の軌跡を辿れるようになっています。この本は既に所謂「童話」の域を超えているようです。むしろ、有名な「童話」のモチーフを使った、良くも悪くも人間臭い「小説」といった方が相応しいかもしれません。夢溢れる「童話」を読んでいるような気分にはなれず、現実に引き戻されたような気がすることも度々ありました。この本の醸し出す人間臭さに思わず拒否反応を示してしまう人もいれば、関心を惹かれる人もいるでしょう。ともあれ、「童話」の中から数多くのメッセージを掘り出し、「小説」風の物語にまとめ上げたことは、注目に値します。共感する・しないは別として、作者の発想が豊かなのは確かだと思います。この本を読むと、専門書とはまた違う形をとった「童話分析・解釈」に触れられます。「子供向け」とされる「童話」も実は深遠なのだと、私は改めて感じました。そして、作中で紹介された参考文献も読みたくなりました。この本は前作同様、好き嫌いがはっきりと分かれそうな作品です。前作を楽しめた人、前作をよんでこのシリーズの世界に魅せられた人にのみ、お勧めです。