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私は農業や環境に関心がありますが、清朝以来続く農業問題の根深さには暗澹たる思いが拭えません。都市と農村の生活水準格差は古代から連綿と続くもので、「格差が目立たないまでに都市の発展を押さえつけることに成功した農村出身の毛沢東こそが、中国の歴史上、稀有な「皇帝」だったというべきだろう(P. 55)」との指摘は意外でした。
農村部の女性の自殺率も深刻です。かつての日本と同様、「じいちゃん・ばあちゃん・かあちゃん」の3ちゃん農業なのにも関わらず女性の地位が圧倒的に低い。北京回龍観病院の医師らによる専門チームの調査では中国の年間自殺者約29万人中、84%が農村部に集中し、その52%が女性という結果が出ています。
また、食にも「騙されたほうが悪い」という行動原則が当てはまる点も大問題です。国家質量監督検検疫総局が23都市の生鮮食料品卸売市場で調べた結果(2001年12月10日『中国青年報』掲載)、47.5%の検体から猛毒の有機リン系殺虫剤メタミドホスが検出され、香港・中国本土で死者が伝えられました。なりふり構わず現金収入を得なくてはならない農民の経済状況があるにせよ、中国国内の農民1000世帯を対象にした調査で「残留農薬による(消費者の)健康被害をとくに意識しない」という回答が7割あまりに達するという状況には驚愕です。
今後の世界動向の鍵となる中国が抱える問題を知るうえで秀逸な本です。中国の巧みな外面に誤魔化されないように一読をお勧めします。
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たとえばエイズ問題には、一つの章をさいて詳述している。中国では2010年にはエイズ患者が1千万人になるとの推計があるという。それが、あながち誇張ではないところに、問題の恐ろしさがある。日本のエイズ問題は血友病患者への輸血で感染した問題が深刻だった。中国では「売血」が最も大きな原因だという。貧しい農村では1年間で働いて得られる現金は日本~~円にして3万円程度。そこへ「売血」は400ccで1500円が手に入るという。かなり魅力的な“商売”だ。ところが、血を買うほうの施設が衛生的でなかったため、エイズウィルスの感染が相次いだという。ある村では住民の6割が「陽性」だったという。
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ほかにも、現在進行形で起こっている問題について、詳細なデータと具体的な話で紹介している。「へえー」という問題ばかりである。それらの問題の根底には、長い歴史の中で培われてきた中国人民の性質があるという点についても、本書では繰り返し指摘されている。
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似たようなテーマをあつかった本で『次の超大国・中国の憂鬱な現実―フォーリン・アフェアーズ・コレクション』(朝日文庫)というのがあった。本書と比べると「次の超大国…」は机上の空論とまでは言わないが、アメリカの識者が、ネットや本で調べたものを書いただけという感じがしてしまう。~
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