裏情報満載を期待して読んでみたが、何のことはないごくごく普通の投信手引き書の域を出ない本であり、帯の「ウラのウラ」の売り文句に値する真新しい内容がどこだったのか、結局分からなかった。「ウラのウラはオモテ」というトンチならその通りの本と言えるかもしれない。基本的に販売サイド寄りのスタンスで書かれているが、窓口での要注意セールストークや人気投信(毎月分配、リスク限定型、BRICs、今さらREIT)のリスクなどにもあまり踏み込まずに申し訳程度に触れるなど、何とか中立を保とうとした努力の跡はうかがえる。
最も注目した内容は、投信の手数料についての検証だった。諸外国と比べてどうなのか、アクティブファンドの手数料はどの程度割に合うのか、巷間の高コスト批判をいかに論破するのかなど、業界歴25年の著者ならではの卓見を期待したのだが結果は・・・。諸外国とのコスト比較では、投信の分類などまるっきり無視して全体の平均値で勝負させているが、そこにどのような意味を見出せばよいのか正直分からなかった。せめてカテゴリー別最安ランキングくらいは必要だろと思うのだが、まあそれでは何かと不都合だったのかもしれない。それから某雑誌の批判に応える形で、ベンチマークをアウトパフォームし続けることが難しいのは日米同じであると論証しているが、だから低コストのインデックス投信が合理的ですよ、とは何故かならない。さらに最近の投信批判はポジショントークの類いであったり、自由に発言できるフリーランスvs発言が縛られる販売サイドというアンフェアな図式である、と何だか論点をスライドさせようとしているかのような印象を受けた。
いかんせんバイアスがきついので星2つとさせて頂いたが、窓口で販売員の話しか聞いたことのない方にはかろうじてお薦めできるかもしれないレベルには達している。あと販売員にとっては必読の書といえよう。ただこの程度の内容では大手証券や銀行の溜飲は下がるまい。もっと数値データを多用して徹底的に理詰めで投信批判を論破する本が登場することを期待したい。