Webサービス、コミュニティー運営側として、マネタイズはどうやっているのかという観点で読みました。
本著で紹介しているB2C向けWebサービス、コミュニティーの多くは、特定の業界や範囲のテーマを扱い、それに類する生活者を集め、広告や有料課金で生計を立てるビジネスモデルです。特化したテーマを参加者で深掘りするため、コンテンツを作る人はここに集まる人全員。専業ライターを抱える一般のメディアでは掘り起こせない質のコンテンツを、無数に提供できる場所になっています。一般的に言うとCGM(消費者参加型メディア)、今風に言うとソーシャルメディアになるのでしょうか。
取り扱うテーマの粒度は「生活者それぞれのかゆいところに手が届く」レベルだと思います。一例を挙げると、食の好みが近い属性の人から好みの飲食店が探し出せる「Alike」、商品の物語を文字で伝え、評価した消費者が物語をブログに変換して伝える「おとりよせネット」、賃貸物件の間取りや位置情報までを把握できる「スマイティ」、エンタテインメント好きのレビューが集まる「ツタヤディスカス」――など。一般のポータルサイトやメディアが提供する情報よりも掘り下げた情報を、参加者達がシェアしあえるモデルです。こうしたシェアによって人と人がつながる場所として機能しているのが、本書で紹介しているWebサービス、コミュニティーではないでしょうか。
読み進める中で、ビジネスのパイを広げるにはどうすればいいのだろうという疑問が浮かんできました。ですがそれに対する答えはありません。2007年から取材してきたWebサービスを紹介しているのですが、それらをまとめた本書が出版された2010年になってもなお、Webサービスのマネタイズは、誰もが答えを追い求めながらも、いまだ明確な方程式が存在しないテーマだといえます。
生活者視点で見ると、これらのWebサービス/コミュニティーは知っておいて損はありません。日常生活におけるちょっとした疑問の答えを見つけたり、自分の知っていること、伝えたいことを他者に紹介したりできるなど、何かしら自分/他者の役に立つものだからです。わたし自身知らなかったサービスも多かったので、本書を辞書にして、生活におけるさまざまなニーズを満たすことに役立ててみたいと思います。