中国といえば、破竹の勢いで急成長を続ける期待の新興国であり、
日本企業も多く進出している夢の巨大市場・・・だった筈ではないか。
そんな国がどうして、経済破綻寸前にまで追い込まれてしまったのか?
現在の詳細な経済状況は? 破綻した場合の世界経済への影響は?
等々、その答えは、本書を読めば一目瞭然である。
世界各国のメディア報道による各種のデータ、公的機関による統計情報、
資料、その他、著者の三橋貴明氏が丹念に収集し、引用元を明らかにした
それらの公開情報を基に、中国経済の実態と世界経済の歪み、そして、
その「歪み」の解消過程において、中国経済が直面するであろう破滅的な
未来について、前作同様、初心者にもわかりやすく解説している。
特に今回は、中国経済はもとより、その崩壊の元凶となったアメリカの
サブプライム問題や、日本、スイスなど、近年の世界経済の潮流を形成する上で
特徴的な役割を演じた国々の国際収支についても、多くのページが割かれている。
そうした情報の1つ1つがパズルのピースとなり、読み終える頃には、世界経済の
おおまかなトレンドと、中国経済の置かれている深刻な状況とが見事に符合し、
関連性を持った一連の出来事として理解できるようになっているのだ。
また、三橋氏の毒舌も健在である。正確な数字を公表しない中国政府や、
皮相的な報道を繰り返すマスコミ、各国の拙い経済政策、等、各方面に対して
怒り、嘆き、時にはボヤくように辛辣な批判を展開しつつ、読者を楽しませる。
問題点を指摘し理想を語る、その論調は概して温かい。諦めていないのだ。
本文中、何度も「我々日本人から見れば」という文章が登場するように、
常に日本人として、一般の生活者の目線で世界経済を語る、その姿勢こそが、
本書を巷に氾濫する学者然とした人物の書いた、中立的で味気ない経済本と
明確に隔てている特色なのではないだろうか。お薦めの一冊である。