『うひ山ぶみ』のテキストで入手しやすいものとしては
岩波文庫版がありましたが、読めば重要性は分かるものの、
宣長独特のうねうねとした文体や、見にくい版の組み方が
邪魔をして、明瞭・統一的な理解が困難な恨みがありました。
この講談社学術文庫版『うひ山ぶみ』は、
巻頭の「解説」は読みにくいですが、
本文には詳細な注釈が施され、
引き締まった読みやすい現代語訳も付されており、
この書の理解を大いに助けてくれます。
文中で、宣長が「古学」のための必読書として
挙げている文献は、歴史学専攻であれ、文学・語学専攻であれ、
人文系の大学生が常に念頭に置いておかなければならないものでしょう。
日本の大学はろくに ものを教えてくれませんから、
こうした「学問のやり方」を説いてくれている本は
非常に貴重で有用だと思います。
この講談社学術文庫版は、『うひ山ぶみ』を格段に読みやすく
してくれた点で、学的貢献大なるものと思います。