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本を生みだす力
 
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本を生みだす力 [単行本]

佐藤郁哉 , 芳賀学 , 山田真茂留
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 5,040 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

学術的知をめぐる物語を生みだし、またそれを育てていく苗床としての“本”は、どのようにして作られ、世に送り出されていくのか?出版社4社を対象とする丹念なケーススタディを通して、学術書の刊行に関わる組織的意思決定の背景と編集プロセスの諸相を浮きぼりにしていく。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

佐藤 郁哉
一橋大学商学研究科教授。1955年生まれ

芳賀 学
上智大学総合人間科学部教授。1960年生まれ

山田 真茂留
早稲田大学文学学術院教授。1962年生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 584ページ
  • 出版社: 新曜社 (2011/2/17)
  • 言語 日本語, 日本語
  • ISBN-10: 4788512211
  • ISBN-13: 978-4788512214
  • 発売日: 2011/2/17
  • 商品の寸法: 21.2 x 15.4 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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By ソコツ トップ100レビュアー VINE™ メンバー
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学術系の出版業界に取材しその実態について徹底的に考察した圧巻の一冊。お堅い研究書・学術書を企画・製作・販売している出版社は、どのような戦略や自意識(セルフ・イメージ)のもとに日常的実践を行なっているのか、四つの規模や性格の異なる出版社の社員へのインタビューを中心に調査し、緻密に分析している。ひとりひとりの社員・編集者が、なかなか売れないが立派にできていれば会社の威信を高めてくれる本格的な学術書と、啓蒙・教養書や教科書などの商業的に安定した本とのバランスをどのように決めつつ、それぞれの作品をいかに意味づけ、また原稿の提供者である著者や経済活動の基盤としての会社との関係性を調整しているのか、実に詳しく論述されている。
こうしたケーススタディをもとに、さらに学術書の生産のいわば環境としてある出版業界とアカデミズムの今日的な状況についても検討される。「出版不況」のなか内容の厚みと回転の速さが雑誌並みのファスト新書が書店の空間を占拠し、若手の研究者もその勢いのなかに飲み込まれるなか、本書のような手間隙をかけて念入りに創作される研究書の命運が問われる。論文のみならず学術書の出版に関してもピアレビュー(同業の学者による査読)がつく米英の制度との比較も入れつつ、日本における学術出版の特異性を考慮し、その現在と未来が批判的に議論される。新鮮かつ説得的な論考であると思う。
人文・社会学系の業界で糧を得ている(得ようとしている)研究者にとってもろに身近な世界の舞台裏の構造が説明されているので、非常に興味深く読めるだろう。また、学者たちの「村」でじっくりと精錬された「知」の結晶たる学術書が、どのように一般社会に流通するようになっているのか、これを理解することで、日本における「本」の役割の一端についても色々と考えをめぐらすことができる。見事な労作/傑作であるといえよう。
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By Bibliothekar トップ1000レビュアー
 日本の(学術)出版界が最高益の売上高を計上していた、1999年頃から開始された学術出版と文化の相関関係を社会的にその意義や現象を10年にわたり問い続けた労作。科学研究費等を頻繁に獲得し、民間財団の経費も同様で、その間に共同研究者と出版社の社長を不幸にも亡くしながら、研究は続けられ、執筆された論文は研究会と電子メールを介して、徹底的に推敲・修正され、研究者個人とのアイデンティティはなくなり、まさに共著となった指摘するくらいに練りこまれた報告書。
 日本には出版学会もあるが、実学と学会との乖離もあり、会員が意外に出版の現場というより介在的な位置にいることが多い。故に、学術出版と連関するテーマは箕輪、長谷川など意外なくらい少ないのが現状であるが、本書の著者らはこれら実績と欧米での実績を踏まえた上で、さらに国内の学術出版社4社を事例研究に選び、編集者や関係者にインタビューを行いながら、学術出版活動の意義を探る。
 本書が今回ひときわ光るのは、欧米と日本では制度化のレヴェルが異なる査読(peer review)の意義を、パトロネイジとして捉えて、組織、著者、出版の意義に光を当てる。日本の学術ギルドというより、村、と著者らは指摘するが、それ以上に、江戸時代からの「家元制度」などの方が余程功罪があるように評者には見えるのだが、如何であろうか。その延長上で、国立大学の民営化を主導するNew Public Managementの評価基準である業績評価上に、日本的研究専門書(monograph)の出版とその評価基準の曖昧さを指摘して日本の大学が抱える問題点を指摘する。日本の教育制度が自立しない限り、社会改革はないのを予感させる。
 いづれのしても事例研究を着実に踏まえた、日本の学術出版の現状を上手くまとめているが、大学出版(UP)の事例としては、名古屋大学出版会の手堅い現状には是非調査対象に加えて欲しかった。
 テーマの文献調査も手堅く、注も精緻で、索引も付した自らが学術書として誇示できる存在である。
 そして、重要な結論相当は:

(3) 教育課程とアカデミック・ライティングに関する日常的な実践(p.469-470)

                              ・・・米国では学術書の原稿がピアレビューとい
う重要な関門に到達する以前の段階でも、さまざまな形で研究者同士のあいだで相互チェックがおこなわれているこ
とについて銘記しておく必要がある。それは、たとえば博士課程の執筆段階における、指導教授からの「添削指導」
とも言える論文の内容と表現に関わる指導である(苅谷 1992: 佐藤 2008)。また、原稿を大学出版部や出版社に送付
する以前の段階で、研究者たちが原稿を読み合い、コメントやアドバイスを提供するという慣習である。
 これに加えて、ピアレビューにおける査読レポートには、内容面や文章表現について著者が原稿を書き直していく
上での方向性が示されることが多い、という点についても注意が必要があろう。・・・

             ・・・米国では、碩学と呼ばれる研究者であっても詳細な査読レポートを書くことが少
なくない・・・
                 ・・・ ピアレビューは、単なる「篩い分け」のための手続きとしておこなわ
れるというよりは、むしろしばしば学術書のクォリティを保証していく上で必要不可欠の作業であるという点であっ
た。(その意味では、米国では、研究者同士がときには日本ではもっぱら編集者がおこなってきたような、原稿の吟味の作業
の一部をおこなってきたのだとも言えよう。)
            ・・・ 学術書の刊行にあたっておこなわれるピアレビューは、米国でおこなわれている、アカデミッ
ク・ライティングないしプロフェッショナル・ライティングに関する指導や助言をめぐる日常的な実践の延長線上に
あると考えることができる。
 さまざまな深刻な問題を抱えながらも米国や英国において学術書の刊行に際しての査読や研究評価制度が今日まで
存続し、またまがりなりにも一定の成果をあげてきたのは、以上のような、研究者と出版関係者を含む広い意味での
「学術界」における日常的な相互批評と相互扶助の実践を支える文化的伝統があったからであると思われる。その文
化的伝統はまた、米国と英国における学術界の集合的アイデンティティの骨格をなすものであると言えよう。日本に
おいて、「学術コミュニケーションの危機」を乗り越え、また学術的知の生産と流通をより質の高いものにしていく
ための方策を探る上で、もし海外の事例に学ぶべきものがあるとしたら、それは、そのような学術コミュニティにお
ける日常的実践のあり方であろう。
 出版社におけるゲートキーピングは、いわばその日常的実践の積み重ねを下手上での「最後の総仕上げ」という位
置づけを持つものである。研究評価システムにいたっては、さらにその後の段階に位置することになる。その点から
すれば、大学院における教育課程はアカデミック・ライティングに関する日常的な実践の積み重ねという、最も時間
も手間もコストもかかる中途のプロセスのあり方について検討を加えることなしに、ゲートキーピング・システムや
評価システムという最終段階だけを取り上げて、それらのシステムの整備について主張することは、きわめて無意味
であり、また自滅的な議論にしかならない。
 
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