著者の『
戦争と美術』は印象的だった。画家と作品を一体のものとして考えて、戦争画やそれを書いた画家に対して、実作者だからこそなしえる説得力のある言葉で批判をしていた。『戦争と美術』読了後、熱心な読者でこそないが、著者の作品を気にするようになった。
本書は、著者が装幀・装画を担当した15冊の本について、その制作過程や作者とのかかわり、当時の著者の心の動きなどを描いている。また、著者の家族や若き日に関する思い出などにも触れられており、初めて知ることも多かった。
描かれた装幀・装画の作業過程は、対象となった作品もしくはその作者と著者の“格闘”とも読める。だからだろうか、全体としては、作者あっての装幀・装画でありながらも、それぞれが著者の独立した“作品”のようにも見え、著者と深く結びついているという印象を受けた。そこに、約20年前に読んだ著者の主張を思い出し、改めて深い説得力を感じた。
最終章の小川国夫の「戦争はあってはならない」という言葉が胸に残る。“してはならない”ではなく“あってはならない”である。
なお、瑕瑾であるが、241ページにある「小林多喜」は、小森多喜が正しい。そのすぐ後ろに「小森家」と出てくるだけに、残念である。