内容紹介
本さえ読んでいられれば幸せなのに、どうして働かなければいけないんだあっ!と嘆く活中者は目黒考二をはじめ全国に1212万人ほどいると言われている(当社調べ)。もちろん本を読んでいるだけでフェラーリには乗れないが、だがしかし。食っていくだけならなんとなるはずだ。というわけで、本の雑誌12月号は活字で自活を実践してきた荻原魚雷をフィーチャーし、本至上主義人生を考察する特集だ。坪内祐三が本至上主義野郎・荻原魚雷の魅力を伝える対談に、浅生ハルミンのゴミ捨て場から一攫千金(?)、就職しないで生きる人に憧れる20代三人組による羨ましいぞこの人は座談会に、読者の「本を読むためやせがまん」。そして再び荻原魚雷が登場し古書現世・向井透史と活字で自活する方法を語り合う対談まで、愛と希望が活字で自活する24ページ。さあ、全国の活中者よ、立ちあがれ! 新刊めったくたガイドは三橋曉が力強く軽快なウィンズロウのクライム・ノベルを堪能すれば、山崎まどかは物語が幾重にも響き合う『オラクル・ナイト』を絶賛。大森望が少女版《老人と宇宙》『ゾーイの物語』が出た!と興奮すれば、宇田川拓也は辻村深月の深く静謐な物語を読み逃すな、と進言。アライユキコが絲山秋子『妻の超然』に作家の決意を読めば、金子のぶおはゼロ年代生まれ回想録三本に加え、音楽史も見直して唱歌斉唱。そして北上次郎はホントに素晴らしい。しかしもったいない──と北方謙三『抱影』をイチオシ。小説を読みながらこれほど嬉しかったことは近年ない、と言いながら、いったい何がもったいないのか。その真相は46ページだ! 今月の特別読み物は「二〇一〇年この新人がすごいぞ!」。エンターテインメント、ミステリー、時代小説から今年注目のニューフェイスを紹介するのだ。さあ、新人王は誰か、要チェック! さらに本誌初登場V林田が失われたSF麻雀漫画をざくざく発掘すれば、「焼き肉キムチ弁当」と呪文を唱えながら三万円お買い物に挑戦した穂村弘は、幻だらけの自分に呆然。嘘でかためた面倒くさい話が読みたい吉野朔実に、お天道さま信仰に啓示を受ける宮田珠己、マンションの風呂をビオトープ化する内澤旬子と連載陣も絶好調! 酷暑のあとにいきなり冬が来て、秋ない2010年の掉尾は、春夏秋冬いつどこで読んでも飽きない本の雑誌で、どーんと飾るのだあ!