雑誌連載時から楽しみに読んでいた。
基本的に、一編で一人の文学者を紹介する。著者は一つの作品というか、書き手の人生そのものにより興味を持つ。華やかな人、地味な人、……彼らはいったいどうやって、生涯にわたってものを書き続けてきたのだろうか? 必然的に、扱う著作物は彼らが一生のあいだに残したほぼ全てにわたる(これは相当元手がかかっているはずだ)。そしてそのエッセンスをぎゅっと濃縮する。そこへ果敢につかみかかっていく。
何か切迫した問題設定やテーマがあるわけではない。日常の合間に、なんとなくふっと手を伸ばす、といったふう。そしてそこに書かれてあることに触発されて、思考がはたらく。たくさんの短い引用に拮抗するようにしてつむがれた切っ先鋭い言葉が、ズバズバと読み手に突き刺さってくる。ここでは読むことが生きることに重なり、日々の省察へとつながっていく。それはローテンションに見えながら、実はジリジリとしぶとく執念深く、エネルギーを燃やしている。おお、ここに文学の一つの秘密があったのか。
知らない人物もいっぱいいる。いっぱい興味を持った。