厦門 潤(あもい 潤)、亜籐潤子の別名義でも活躍するベテラン作家の、成人向けコミック(ソフト路線で18禁指定はなし)。
十数年ぶりに生まれた土地に帰り、廃校になった母校の宿舎に住むことになった主人公 大地は自分のことを知る幼なじみメイと出会う。熱烈な好意をアピールするメイに誘われるままに体を重ねてしまう大地だが、彼女のことを思い出すことはできなかった、というのが導入になります。
メイを中心にタイプの違う8人の幼なじみたちと大地がHをするという、良く言えばオーソドックスな、悪く言えば安易なストーリーを進めながらも、メイの存在を鍵にして記憶と郷愁の物語としての側面がしだいにあらわになっていきます。
【以下ややネタバレにつきご注意を】
「思い出すことができない幼なじみ」メイの設定は非常に良くできていて、作中で主人公(および他の幼なじみたち)の「子供時代の記憶と郷愁」を象徴するだけでなく、実に様々なイメージ(冥王星、座敷わらし、「見えない友達」、アカシックレコードetc)を喚起するキャラクターになっています。
これら喚起されるイメージが、物語終盤で(プロットレベルで合理的に説明されるのではなく)呼応しながら暗示的に浮かびあがることが、意外性のあるハッピーエンドとあいまって独特な余韻を残します。
一見地味ですが良作です。海野 螢『めもり星人』、梶尾 真治『おもいでエマノン』、大石 まさる「水惑星年代記」シリーズ、芦奈野 ひとし『ヨコハマ買い出し紀行』などが好きな方に特にオススメします。