前世(過去世)療法についての前著が二冊ある著者が今回は未来世療法について語る。
前著と同様に退行催眠によって未来世のヴィジョンも見えることがわかり、著者は
それを自らの患者の治療に活かしている。それらの治療体験を記録したものが本書である。
未来世と言っても「可能性のある未来」であり、複数存在する。それらは、今現在の人間の
決断や考え方、要するに人生の選択によって、いかようにも変わり得るようだと説かれている。
そこが、「運命は変えられる」という副題になっているようである。
タイトルは未来世療法だが、治療は前世療法と未来世療法のコンビネーションであり、
本書でも前世療法がベースになっていて、記述が併記されているところが面白い。
手順としてまずは前世を見てみて、それから未来世をみてみるのである。
患者は、自らの過去や未来を行ったり来たりして自分に足りない「気付き」を得ていく。
この「気付き」は仏教で言えば「悟り」そのものだろう。
仏教で言う「悟り」の範囲はたいへん広く、ブッダのような「大悟」もあれば、
日常の細かな気付きも「小さな悟り」である。
仏教では観世音菩薩(観自在菩薩)が出てくる。本書を読んで共通点に気が付いた。
ダライ・ラマ師は観世音菩薩であると言われる。
過去・現在・未来を見通す力を持った人間である。
過去・現在・未来を見通すのは宿命通という神通力の一つである。
高僧など瞑想の達人ともなれば、瞑想によっても三世を見通すと言う。
(ちなみに観世音菩薩は一人ではない。その境地に到達すれば誰でも観世音菩薩である。
例えるなら武道の黒帯みたいなものである。黒帯はたくさんいる)
もうひとつ興味深かったのは、最近読んだダライ・ラマ師の著書と似たような記述があったことだ。
師の『「死の謎」を説く』という著書に、中国兵から拷問を受けたあるチベット僧の逸話がある。
そのチベット僧は、拷問によって死を迎える前に、自ら肉体と霊を切り離し、現世を去った。
そのチベット僧は拷問が苦しくてそうしたのではない。
中国兵にこれ以上の業を積ませてはいけないと思う慈悲の心から、自ら霊を肉体から脱出させた。
この話を思い出させる逸話が本書中にもあった。
六万年前、今より高度な文明が地上にあった頃、ある患者は過去世で、霊を肉体から切り離す…
つまり自在に幽体離脱する術を含む知識を記録したものを隠した。
人類がそれを理解できるようになった時、それは見つかる…と退行催眠中に述べたのであった。
ユングの理論や、仏教の教え、キリスト教の教え、或いはヘミシンクなどが一つに繋がるので、
たいへん興味深く面白い。
本書が広く読まれ、この地上がいち早く愛や思いやりに満ちた世界になれば嬉しいと思う。
争いなんてくだらない。そう思う。