この本は、240ページ程度で装丁にも凝っていない。値段は2500円越えということで、一般のビジネス書の感覚からいくと割高な第一印象である。「データ・マイニングを超えた・・・」という副題に期待して、それだけの価値はあるのだろうと購入した。
結果は、本の中身★★★★、値段にみあった読者への親切心★以下という読後感である。
主たる方法論は、人が頭で考えていることを可視化して、再考し、その背景、ストーリーを理解し、グループでブレイン・ストームし、またそれを可視化し・・・というプロセスにより未知なるアイディアを発見するというものである。こうしたアプローチは、いまどき、普通に仕事に携わり、ビジネス書に触れている人なら目新しいものではない。また、本書の前半に紹介されている事例は、その結果に意外性がなく、このアプローチやツールが凄いんだぞと言いたいのなら適切なケースを取り上げているとは言い難い。
しかし、本書の価値は第5章以降にあると思う。特に第5章で紹介されている「見えない「こと」をつくるデータ結晶化技術」などは、正しく理解できたなら新しいものを発見するツールとして活用できそうな気がする。また、6章、7章で紹介されている著者が考案したというゲームも、脳を活性化させ、イノベーションを見つける道筋をつけるための有効な手段として使えそうである。ということで、中身は星4。
一方、この本全体を通して不親切だと非常に感じるのは、この本を理解する上で重要だと思われる図表が非常に字が小さく、ドットが粗く、読み取るのに苦労する。また、本書の中では推移を表す図を並べて紹介しているページが随所にでてくるが、読者の理解を促進させたいという気持ちがあるのなら、図の中の各々の要素が同じ位置になるように工夫をしたりするはずである。しかし、著者のPCで動かしたソフトウェアの画面をそのままハードコピーして貼り付けているようで、何の考慮もされておらず、推移をたどるのも一苦労である。
特にこの本でコアだと思われる第5章の図と説明は、意図的なのかどうか分からないが、不親切この上なく、本書からだけでは私自身は半分も理解できたとはいえない。本書の理解を促進するためのWebSiteなどの紹介もあるわけではない。ということで星一つ以下。
トニー・ブザンのマインド・マップの本(この本の値段でお釣りがくる)などを参考にして、もう少し読者の立場に立った本を作ってほしいものである。