普段見慣れている景色を違った角度から眺めてみることで、新しい、別の風景が見えてくる感じ。常識ではないかと気にも留めていなかった習慣や行動が、あれっと思う間に、くるんとひっくり返っているような味わい。本書に収められている星さんのショートショートを読みながら、そんな気分になりましたー。
「いそっぷ村の繁栄」と題された連作集(「アリとキリギリス」「北風と太陽」「キツネとツル」「カラスとキツネ」「ウサギとカメ」「オオカミがきた」「ライオンとネズミ」)を皮切りに、全部で33のショートショートを収録しています。
なかでも面白かったショート・ショートは、次の三つ。
★新入社員が会社組織にとって、なくてはならない有益な人材へと育っていく、その裏舞台を描いてすっぱい味がした・・・・・・「いい上役」
★機械的な応対よりも人間味のある応対のほうが、仕事のやる気という点で効果が上がるかもしれない。話のそうしたテーマに、現代にも大いに通じるものを感じ、考えさせられた・・・・・・「オフィスの妖精」
★登場人物が次の登場人物にバトンタッチしていく、リレー風のクリスマス・イブの物語。ほんのりと、あたたかなともしびが点っている、そんな話の風情が素敵。本書のマイ・ベスト作品は、これかな・・・・・・「ある夜の物語」
文庫解説は、新井素子。