本書は、世界経済危機 日本の罪と罰の続編です。この世界的経済危機は、日本、中国、産油国からアメリカにドルで還流した資金が元になって、アメリカ発信という形で顕在化したが、本質は世界的巨大バブルの崩壊現象であり、日本、中国には特に大打撃だという。また、今回の経済危機は、日本の政策的、人為的円安バブルの崩壊でもあり、米国発の金融危機が起こらなくても発生したとされ、日本の主要経済統計等は2003年頃若しくはそれを割り込む水準に落ちると分析している。
今回の経済危機が収束するための条件は、
1)日本全体が輸出立国から脱却し、内需主導型の経済モデルを作らなくてはいけない。
2)アメリカの貿易赤字が現状の半分程度に落ち着くこと
とのことだが、これを各種の統計を絡めて説明している。また今後の日本のあり方としては、公共投資を前倒ししても行い、個人は自己投資をして付加価値を上げていくことが重要だと述べている。例として資格取得、フルタイム若しくは社会人向け大学院の活況を述べているが、これについてはあまり濃い論考とは言えない。また、個人レベルでの分散投資は情報の非対称性の面からリスキーと結論し、銀行に預金しておくのが合理的だと言っている。この資産運用方針については半ば思考停止を正当化しているように思えた。今回の金融危機の各種分析に際し、マクロ経済、金融経済理論を骨太な駆使した実践的経済理論書の著者がこの程度とはかなりマイナスなイメージも同時に持った。また危機脱却策として従来型公共投資を行うことや、日銀の国債買い取りなどを示唆するなど、後世にツケを残す策しか述べていない。 本書は第5章までは非常に読みごたえがあったが、それ以降は、どうしても尻すぼみ的な印象がぬぐえないのは私だけであろうか。