1969年6月にこの『未完成』が発売されました。はしだのりひことシューベルツにとっての初めて世に出たアルバムでした。この年の1月に「風」が大ヒットし、彼らの注目度が一気に高まった後に出たわけです。
ご存じのように、京都が生んだフォーク・クルセダーズのメンバーだったはしだのりひこという1970年前後の音楽シーンを語るには、はずせない人物をリーダーにしていました。立命館出身の杉田二郎、同志社の端田宣彦、はしだの後輩の越智友嗣と井上博の4人組です。
はしだのりひこは、フォークルの解散の翌年に杉田の参加も得てこのシューベルツを結成し、「風」で再び音楽シーンに踊り出てきました。
「風」は北山修作詞、はしだのりひこ作曲のコンビの生んだ永遠の名曲でしょう。
2番の歌詞♪プラタナスの 枯葉舞う冬の道で プラタナスの 散る音に振り返る♪と歌っていたベースの井上博は、スマートでルックスも良かったのですが、翌年不幸にも腎臓病で亡くなられました。その夭折の翌月にシューベルツは解散します。京都の街路樹であったプラタナスの描写は当時京都で学生時代を過ごした人には懐かしい風景のはずです。
シューベルツは、はしだのヴォーカルのイメージが強かったのですが、アルバム全体を聴き通しますと、杉田二郎の作曲した曲も多く、メイン・ヴォーカルは杉田が結構歌っています。少し思っていた印象とは違いましたが、ほのぼのとしたアルバムの雰囲気は関西フォークの良さを受け継いでいました。時折歌謡曲調の曲も含まれているのはご愛嬌でしょう。
リーフレットに歌詞は掲載してありますが曲の解説はありません。記憶が風化していくこともあり、当時の関西の音楽シーンを誰かに語って欲しいと思いました。