シューベルトのこの交響曲が何故完成されなかったのか、真相は分かっていません。
この交響曲は、第一楽章と第二楽章は完成されていますが、第三楽章が冒頭のスケッチが作られただけで中断しています。これは映画の中にある通りです。
未完になった理由は諸説あります。
・とりあえず第二楽章まで完成させ、いずれ続きを書こうと思ってそのまま忘れてしまった説。
・第二楽章までの出来が巣晴らし過ぎて、後が続かなかった説。確かに映画の中でも紹介されている第三楽章の主題は余り良い出来とは思えません。
・一番面白いのは、第一楽章と第二楽章を3拍子で書いて、第三楽章も書き始めたらやっぱり3拍子になってしまって、シューベルトが「あれ? これはまずいぞ!」と中断してしまった説。
いずれにせよ、第一楽章と第二楽章だけで単独の作品と見做しても充分深く、充実した不滅の名曲であることは間違いありません。幸いなことに、第三楽章のスケッチを元に続きを作ろうなんて考える野暮な学者もいません。
という訳で、この映画はもちろんフィクションなのですが、とてもストーリーがロマンチックで素敵です。冒頭、質草のギターを引き受けに来るシューベルトのシルエット。ギターを愛おしむ手付き。どんどん引き付けられます。学校で分数を教えていたはずが、いつの間にか「野ばら」を作曲していたなんて、本当にありそうで笑えます。
画質、音質ともに古さがあるので星4つにしましたが、もし現代のクオリティで作られていたら文句なしの星5つです。ただ、現代人の感覚では、もうこんなロマンチックな内容の作品は作れないと思います。
素直に音楽が好きになれる名作です。