もしもあなたが、笹沢左保(1930−2002)もしくは小島剛夕(1928−2000)の愛読者ならば、ぜひとも押さえておきたいレアな作品集です。
笹沢左保の股旅小説『木枯し紋次郎』シリーズは、かつて中村敦夫主演のテレビドラマとなって一世を風靡しましたが、これはその原作小説の唯一の劇画化作品。「赦免花は散った」「湯煙に月は砕けた」「女人講の闇を裂く」「川留めの水は濁った」の4篇を収録している。
小島剛夕は、小池一夫原作の『子連れ狼』『半蔵の門』『乾いて候』などの時代劇画で知られる絵師。私とおなじように、あの独得な暗い情念の熱気をおびた、日本画風の筆遣いに魅せられているファンも多いとおもう。
原作小説は一話完結。構成がしっかりしていて、結末に意外性がある。いかにも昭和40年代の娯楽作品らしい、暗くて重い人間ドラマだが、ひさしぶりに再読して感銘をうけた。
でも、表紙と奥付の原作者名が「佐保」と表記されているのはどうなんだろう。作家デビューの一時期はそう名乗っていたようですが。初出掲載誌のデータも明記してもらいたかったです。