不可避ともいえるが、多少マンネリ感が漂うようになったこのシリーズ、それがこの巻は、微妙にいつもと違う。最初の2作は、いずれもすぐには紋次郎が登場しない。登場したと思えば、けっこうその心理や感覚に迫ったりで、あまり今までにない展開。設定も少し斬新。さすがに作者もマンネリを感じていたころだろうか。娯楽性が増している。
しかし単にマンネリ打破とかバージョンアップというのとは違ったようで、解説によれば、これが著者にすればシリーズ最後のつもりの作品だったらしい。なるほど最後は紋次郎死す!と思えないこともない終わり方だ。結局は曖昧で、続編も書かれるわけで、その点、死なないでほしい読者には安心なのだが。
ここでの紋次郎は、珍しく相手のことを信じ、そのためにたいへんな目に遭う。それが最後のつもりの話だとすると、このシリーズの徹底した絶望感のようなものがあらためて心に沁みる。
というわけでファン必読の一巻。