この巻のあとが、『さらば峠の紋次郎』という題の、もしかしてシリーズの最後かという作品。そこで紋次郎の宿敵の「峠の小文太」と対決して決着を付けるのだが、その小文太が登場するのがひとつ前のこの巻なので、ここから短いが新しいシリーズになる。小文太は、シーズンの新しさを演出する要素というわけで、だから第15巻を読む前にこの第14巻を読まないといけない。
これが面白い。
最初の話は小文太の紹介だけでついに紋次郎は直接は登場しない、という凝った造り。つまり、短編の体裁ではあるが、実は連作として話が続いていく、ということだ。次はその小文太は病気で、代わりに、これまた勇名をはせた兄貴分の一家が紋次郎を狙う、という話。こうしたアクション対決風の展開は、当たり前のようでいて、紋次郎シリーズの最初の方には意外になかったから面白い。それだけではなくて、やくざの仁義を詳述したり、他の渡世人の心理を入れたりと、何かと面白さがアップしていて、なかなかいい。後の方でやや魅力が減っていくが、全体に巻としての水準は高い。