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木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
 
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木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか [単行本]

増田 俊也
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (39件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

昭和29年12月22日----。プロ柔道からプロレスに転じた木村政彦が、当時、人気絶頂の力道山と「実力日本一を争う」という名目で開催された「昭和の巌流島決戦」。試合は「引き分けにする」ことが事前に決められていたものの、木村が一方的に叩き潰され、KOされてしまう。まだ2局しかなかったとはいえ、共に生放送していたテレビの視聴率は100%。まさに、全国民注視の中で、無残な姿を晒してしまった木村、時に37歳。75歳まで生きた彼の、人生の折り返し点で起きた屈辱の出来事だった。柔道の現役時代、木村は柔道を殺し合いのための武道ととらえ、試合の前夜には必ず短刀の切っ先を腹部にあて、切腹の練習をして試合に臨んだ。負ければ腹を切る、その覚悟こそが木村を常勝たらしめたのである。約束を破った力道山を許すことができなかった木村は、かつて切腹の練習の際に使っていた短刀を手に、力道山を殺そうと付けねらう。しかし、現実にはそうはならなかった......その深層は? 戦後スポーツ史上、最大の謎とされる「巌流島決戦」を軸に、希代の最強柔道家・木村政彦の人生を詳\xA1
細に描く、大河巨編!!

内容(「BOOK」データベースより)

昭和29年12月、活動の場をプロレスに移した木村政彦と、人気絶頂の力道山との一戦。「昭和の巌流島」と呼ばれ、視聴率100%。全国民注視の中、最強柔道家は、力道山に一方的に潰され、表舞台から姿を消した。「負けたら腹を切る」という、武道家としての矜持を持っていた木村はなぜ、簡単に敗れたのか?戦後日本スポーツ史上、最大の謎とともに木村の数奇な人生に迫る。『ゴング格闘技』大反響連載、待望の書籍化。

登録情報

  • 単行本: 701ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/9/30)
  • ISBN-10: 410330071X
  • ISBN-13: 978-4103300717
  • 発売日: 2011/9/30
  • 商品の寸法: 19.4 x 14.2 x 4.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (39件のカスタマーレビュー)
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72 人中、66人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 日本の格闘技、柔道の「歴史」の虚構を暴き、真実を浮上させた!, 2011/11/19
By 
Max-T - レビューをすべて見る
(トップ1000レビュアー)   
レビュー対象商品: 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか (単行本)
上下2段、700ページに及ぶ大著だが、読み出したら止まらない感じで一気に読んでしまった。

自分が意識せずに身につけてしまっている既成概念、既成イメージを洗い流してくれる本は、時々しか出会えないが、どの分野の本でも吸い込まれる。この本もそうした貴重な1冊だ。

力道山を王者・ヒーローにしたプロレス伝説、明治以降の「近代柔道」に関する講道館と嘉納治五郎伝説、そういうものは武術や格闘技に特段の知識がない私の脳裏にもいつのまにか既成のイメージをしっかりと植え付けてしまっていた。そのことを、この本を読んで分かった。目から鱗が落ち、頭の中の既成イメージは木端微塵にリセットされた。実に爽快!

木村政彦、その超人的な強さの故に「木村の前に木村なし、木村の後に木村なし」といわれ、昭和が生み出した希有な柔道格闘家、その名を初めて知った。なぜか? その後のプロレス界からも、柔道界からも、この超人格闘家の存在は無視、抹殺されたからだ。

一般の日本人の記憶から木村政彦の名が消えた一方、その後世界最強と言われるようになったグレイシー柔術と一族の間では木村は伝説的な存在として語り継がれた。なぜか?木村がグレイシー柔術の祖エリオと戦い、一方的に完勝し、しかもその人格的な魅力でエリオに強い影響を残しているからだ。そういうことを全部、はじめてこの本で知った。

わずか数十年前のことであるにもかかわらず、「歴史とはたまたま勝ち残った者が作った虚構」であることを思い知らされずにはいられない。埋もれかけた歴史を、莫大な労力と資料、取材を積み重ねて私達の眼の前に提示してくれた著者に深く敬意を払いたい。

本書のクライマックス、木村と力道山のプロレス試合に関して言えば、木村は(ショウビジネス)としてのプロレス(必然的にシナリオあり)を力道山とすべきではなかった。力道山は受けなかったかもしれないが、真剣試合の場合に限ってやるべきだったと感じた。そこに「負ける時は死ぬ時だ」と生きて来た男の人生最大の不覚深くがあったと思った。
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96 人中、87人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 素晴らしい本です, 2011/10/25
レビュー対象商品: 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか (単行本)
最初からぐいぐい引き込まれ、大著にもかかわらず、あっという間に読了しました。最終章では、なぜか、おいおいと声をあげて泣いてしまいました。久しぶりに読書の醍醐味を堪能しました。この10年で最高の本です。一人でも多くの人に読んでほしい。

木村政彦、牛島辰熊、岩釣兼生の柔道(=格闘技)にかける情熱と厳しい修行、その怪物ぶりがすさまじく、ぐいぐい引き込まれます。様々な資料やインタビューを通じて、彼らの人生や諸事件を詳細に解明していきます。多くの新事実に驚かされます。木村の栄光と挫折、後悔、それでも生き続けた後半生には切ないものがありますが、あくまで愛情を持って、しかし公正に記述する著者の「まなざし」が素晴らしい。また、古式柔術、武徳会vs講道館をめぐる政治により、柔道の表の歴史から不当に抹殺された人々にも公正な光を当て、本来の柔道(柔術、格闘技)とは何かを論じる著者に共感しました。こういう姿勢は、力道山や大山倍達への記述にも共通しています。そして、最後に明らかになるのは昭和という時代がどういうものであったのかということ、木村政彦と彼をめぐる人間や家族の素晴らしさ、人生の素晴らしさ、です。栄光だけの人生はあり得ません。彼は、凄かった、頑張っていた、そして、苦悩していた、しかし、最高に面白い、暖かい奴だった、と、今、増田氏により甦った木村政彦は、とても幸せな人です。
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49 人中、45人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 歴史的傑作, 2011/12/11
レビュー対象商品: 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか (単行本)
 これは柔道を愛する著者が、たくさんの人達の協力のもと、真摯(しんし)な男たちと女たちを描いた真摯な物語です。
 誇張でも何でもなく、格闘技にまつわるよくできた名作の域を超えて、歴史的傑作とまで呼べる作品です。格闘技や武道に少しでも興味のある人は、是非とも読んでみてください。間違いなく、読む価値のある本です。
 p.306に、〈だから、ここまで読んできた読者も牛島支持派と木村支持派に分かれるのではないか。〉とあります。私は完全に牛島支持派です。ですから、木村政彦の人間性よりも、牛島辰熊や阿部謙四郎や大山倍達の思想に共感します。読む人によっては、思想よりも木村の人間性に惹かれる人も多くいるでしょう。その違いの妙味を味わうだけでも、この上ない贅沢です。
 p.310に、〈さらに東条英機首相暗殺まで企てた誇り高き最後のサムライ牛島には断じて墜ちることなどできなかったのである。〉とあり、〈この牛島に対する裏切り行為で、その後の木村の人生には墜ちるという選択肢しかなくなった。〉とあります。坂口安吾の『堕落論』をベースにしたこの語りにより、物語の深みは増していきます。
 しかし、『堕落論』には、〈だが、人間は永遠に墜ちぬくことはできないだろう。(中略)人間は可憐であり脆弱であり、それ故愚かなものであるが、墜ちぬくためには弱すぎる。(中略)墜ちる道を墜ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない〉ともあるのです。木村は、墜ちた先で、自分自身を発見し、救わなければならなかったのです。それができたのか否かは、実際に本書を読んで各自で判断してください。私には、木村は自分自身を救い、それ故に、木村を愛した人達をも救えたのだろうと思えました。
 最後に、牛島支持派として新潮文庫『堕落論』内の「特攻隊に捧ぐ」をお勧めしておきます。そして、それ故に、それにも関わらず、木村には思想がなかったのではなく、木村にも木村なりの思想があったのだと思うのです。
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