著者は、ドイツ在住のセラピスト。
木と人間のかかわりについて記された第一章から順に読むのもいいし、
ブナやリンゴ、モミにニレなど32種の木を、伝説・生態・薬効などさまざまな視点から紹介した第二章を、好きなページからめくるのも楽しい。
ケルト人のツリーサークルに基づいて、自分の誕生日にあてはまる守護樹を見つけ、その樹について詳しく知るのも心おどる経験だ。
さまざまな樹のたたずまいに思いをはせていると、それだけで気持ちがふわりと軽くなる。
樹のことを想っている胸のあたりから、あたたかな安らぎがこんこんと湧いてくる。
ヒトが地上にあらわれるはるか昔から、木は大地に根を張り、空を抱いて、地球とともに生きつづけてきた。
木にはそれぞれの意思があり、個性があり、日常的に会話もおこなっている。
人間が使っているものさしは、木のそれと比べてごく短いから、人がそのことに気づかないだけだけだ。
人間の身体の構造は、木の構造と非常によく似ている、という部分を読んでいて、
「人はかつて樹だった」という詩集(長田弘著、みすず書房)があったのを思い出す。
あの題名は比ゆだと思い込んでいたけれど、「木の癒し」を読んでいると、なるほど人はかつて樹だったのだろう、と自然に思えてくる。
自分を、一本の木だと考える。
あるいは自分の中に、一本の木を置いてみる。
そうすると、身体や心にもうひとつの時間軸が生まれて、それがいつもぶれない自分の中心、何ものにも侵されない神聖な場所になってゆくような気がする。