白洲正子さんが二十種の樹木を取り上げ、それぞれの名木を写真で紹介した上で、それらの樹木を利用したモノたちを、モノづくりに携わる人々の生き方と共に解説した一冊。取り上げているのは檜・欅・松・栃・杉・樟・槙・「シナノキ」・樫・楊・桐・檮・朴・栢・楮・柿・桂・楓・桜、以上の二十種。(「シナノキ」は木偏に品だが、変換できなかった。本文中でも、漢字ではなく国字だという指摘があったので、その関係によるのだろう。)
読み始めると、著者の語る内容と平凡社ライブラリーの活字の感じが上手くマッチしているのが気持ちいい。講談社文芸文庫や新潮文庫より、目で触れるのが心地よいのをまず感じた。
内容についてみてみると、他の著書でも発揮している古代史や工芸への深い造詣と、それぞれの樹木への視点の置き方がやはり独特の味わい深さを齎していて、相変わらず愉しい。普段視界に入っているはずの樹木や木工品が、違うように見えてくる。それは白洲正子さんだからこその見立てであって現実に見えるのとは違うというのはその通りだが、それを味わうというのが日本文化の本領で、和歌や俳句もそんな「見立て」を作り出したり鑑賞するのが一つの肝なのだと思う。
今度は匠についての著書が読みたくなってきた。相変わらずすばらしい一冊。