「朝高」と言えば誰でもが恐れていた時代があった。徒党を組み、ある時はケンカにあけくれ、ある時はユスリとタカリで・・・目を付けられないようにしたものだ。それでもまだ良かった時代だったのかもしれない。
高校授業料無料化の対象に朝鮮高校(正確には各種学校の朝鮮高級学校というもの)が含まれるかどうかで議論が続いている。そこで何が教育されているのか、秘密扱いの歴史教科書が萩原氏等の手によって翻訳され、それをコンパクトにまとめ驚くべき問題点を取り上げたのが本書のテーマである。
まず朝鮮学校の今日の実像が明らかにされる。学生の8割が韓国籍であること、日本政府の管理を避けるため「各種学校」に甘んじていながら「大学受験資格を与えろ」と強要しながら、一方で麻薬の運び人や拉致工作員を育てたこと。
教えられている内容はひとえに金日成神話。特に高校では1945年8月15日から2002年までの現代史に集中。(初めて知ったが、一時は金日成は金一星と呼ばれたこと。息子の金正日も正一と報道されていたこと。)明らかに北が開始した朝鮮戦争はいまだに米国と韓国が攻め込んだとされ、停戦も「日毎に敗北のみを重ねて窮地に陥った米帝は、朝鮮人民の前に膝を屈した」と「朝鮮人民の偉大な勝利」と教えられているのである。正確な知識を得られる日本に住んでいる学生にとっては面従腹誹の二重思考を強いられることになる。
金王朝と化した戦後朝鮮史だが、そこに至る道についても鋭く分析されている。無論教科書では全く別の伝説になるのだが。戦争責任を避ける目的で始められた「千里馬運動」、人手不足を補うための在日朝鮮人の「帰国運動」、金正日の登場と同時に「主体思想」のキャンペーンが始まり、その後の失政で飢餓者が出たことを叱責され失脚を免れるためについには父親の暗殺に走ったというのが萩原氏の独自の“見立て”。対談相手の井沢氏の創氏改名や藤原彰批判など、いくつかの論点には異論があるが。
終章に元生徒の証言が付されている。実に生々しい。