著者の得意分野であるらしい、石油資源データにもとづいて、
北朝鮮には通常兵器による戦争遂行力がなく、「暴発さえ不可能」だと立証している。
アメリカから攻撃されるのではないかという過度の恐怖心から、核保有をめざしていること。
日本をふくめた周辺国が、北朝鮮におもねるような外交をつづけるかぎり、
核問題も拉致問題も解決しないであろうこと。さらに最新のトピックとして、
2006年にアメリカが行なった金融制裁の舞台裏なども描いている。
正直、一冊の本としてはアラが目立つ。
論点があっちを向いたり、こっちを向いたり。似たような話題のくり返しが多く、
「文明の衝突」などへの言及も、いささか上滑りに感じられる。
じっくり腰をすえて読み返して、推敲したほうがよかったんじゃないかと、
よけいな心配もしたくなる。けれども、にもかかわらず.....というか、だからこそ、
憤懣やるたかなく一気に書き上げたような文章には、熱病のような勢いがあり、
あっという間に読み終えることができた。面白かった。
良くも悪くも、この人はジャーナリストなんだなと、しみじみ思った。