第68代横綱 朝青龍明徳 [本名 ドルゴルスレン・ダグワドルジ]
相撲界に、良くも悪くもこれだけ影響をおよぼしていった横綱を他に知りません。
そもそも相撲自体をそんなに知らないのに、朝青龍は知っているという存在感が絶大です。
相撲取材には定評のあるTVレポーター 横野レイコ。
本書は、11年の土俵人生を、側で過ごしたからこそ書けた、著者による「朝青龍ダイジェスト」です。
現役時代の舞台裏からはじまって、問題発言、問題行動、八百長疑惑、暴行騒動 etc.
テレビの映像には出てこない、朝青龍の本音や葛藤…
引退後の密着取材から得られた、元横綱の苦悩には、正直 共感を覚えました。
長い相撲界のいち時代を担った、史上最強のヒール横綱。
その偉大な成績、素行の数々は、巻末の「朝青龍やんちゃ年表」に詳しいです。
ざっと年表を眺めるだけでも記憶が甦る存在感の強さ。
報道からしか知らなかった朝青龍。
この若きモンゴルの英雄を、偏った見方でしか捉えていませんでした。
話題も豊富で、相撲が強い。それをマスコミ一般が放っておく訳がありません…
引退後、世界中に260万人しかいない、モンゴルの国民の一人に戻りました。
そんな、朝青龍の密着取材より引用します。
「相撲界で一番楽しかったときはいつですか?」
「武蔵丸、貴乃花、武双山ら凄い力士達を倒していった頃が一番楽しかった。
横綱になって負けられない、勝たねばならない地位になり、勝つことの楽しさは消えていった」
朝青龍の苦悩の源泉は、ここにあったのではないか…
インタビューすら、毎回綱渡りだったという現役時代。
その頃には考えられなかったという、今回の密着取材を受けた理由は、単純明快です。
「本音をわかって欲しかったから」
ヒールな側面しか知らない朝青龍でしたが、
本を読み進めるうちに、彼のいちファンになっている自分に気がつきました。
報道からは得られなかった「朝青龍」という個性が満載されています。
好きでも、嫌いでもいい。
彼に興味のあった人には、是非、一読してみてほしい一冊でした。