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朝日平吾の鬱屈 (双書Zero)
 
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朝日平吾の鬱屈 (双書Zero) [単行本]

中島 岳志
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,470 通常配送無料 詳細
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

希望は、テロ?
失敗の連続、満たされぬ思い、周囲への憎悪----。
閉塞した時代を生きた、無名の青年・朝日が選んだのは、単独テロ。やがてそれはテロの連鎖を生み、大いなる悲劇を招く。
何が彼をそこまで駆り立てたのか? その軌跡を鋭く描く。

内容(「BOOK」データベースより)

失敗の連続、満たされぬ思い、周囲への憎悪―。閉塞した時代を生きた、無名の青年・朝日が最後に選んだのは、単独テロ。やがてそれはテロの連鎖を生み、大いなる悲劇を招く。何が彼をそこまで駆り立てたのか?その軌跡を鋭く描く。

登録情報

  • 単行本: 206ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2009/09)
  • ISBN-10: 4480857931
  • ISBN-13: 978-4480857934
  • 発売日: 2009/09
  • 商品の寸法: 19 x 13.2 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
1921年9月28日、無名の青年であった朝日平吾は、安田財閥の創始者たる安田善次郎を殺害し、その刃を翻して自死した。政治思想史家の橋川文三によると、その後の「昭和維新」に連なる予兆とされる事件である。

人間は自己の存在を如何にして何によって支えるのか。

時流に乗ることに何の違和感も抱かずにいられる人間であるならば、その時流が差し出してくれる模造品の時空間の中に我が身を預けてしまうだけで済んでしまう話だろう。

それとは別に、妙に内省的な人間、というのがいる。俗世と自己との間に隔絶を覚える人間だ。彼/彼女が、うまい具合に俗世の中で位置を得られれば、――たとえばこの著者のように――学者か文学者か芸術家にでもなるのだろう。しかし、自己の実存的苦悩に何らかの形を与えることができずにいる者は如何せん。外部との関係がどうであれ自己の内的価値によって吊り支えられる生、というのもあるだろう。しかし、人間みな必ずしもそこまで強くはない。情愛で直接的に結びついた他者の存在によって支えられる生、というのもあるだろう。しかし、人間みな必ずしもそのような相手に出逢えるほど幸運というわけでもない。実存の孤独な苦悶は、遍在している。

著者は朝日の鬱屈を現代の若者にも見る。それは的外れではないだろう。著者は、支配層に対する朝日の暴力に同調的だった当時の風潮が更なる凶行を呼び起こしては、結果的にそれを鎮圧すべく国家暴力の肥大化を招いてしまった顛末を指摘し、「私は、現代日本社会でテロは起きてほしくない」と述べて、「社会的包摂」「地域社会の相互扶助」を云々する。

しかし、こんな"社会的"な言辞、現に実存的苦闘の只中にいる当の人間の耳に届くことは、決してないだろう。"社会秩序の安定"なんぞ、他人事にしか過ぎない。それは実存にとっては、どうでもいいことなのだ。
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形式:単行本
朝日は、定職が無く、行く先々で問題を起こします。それが、いきなり、平民青年党、宗教団体、神州義団、労働ホテルを立ち上げ失敗したりします。そんな自分に金をかさない富豪を罵倒して、テロ構想をねったり、面識のない北一輝になれなれしい手紙を書いたり、そのくせ、性欲が昂進して遊郭通いをしたり、全くやることが思いつきで宙に浮いています。

昭和維新の思想の先駆けや現代につながる問いというよりは、単なる躁状態だった可能性があるかも。天誅とか君民一体とか、維新とか書いて、最後に天皇陛下万歳と書いておけばかっこがつきます。最近、『問題は、躁なんです』という本を読んだ後だけに、そう思いました。
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形式:単行本
 「ロスジェネ世代」を代表する歴史家、中島岳志氏による待望の新刊。

 今回スポットライトが当てられるのは、1921年に安田財閥の創始者・安田善次郎を暗殺し、自らも自害した青年・朝日平吾。

 彼の31年にわたる生涯とともに、暗殺にいたるまでの心的プロセスが分析の対象とされる。

 そして最後に問題とされるのは、彼の行為に共感・同調し、「テロルの時代」の雰囲気を醸成してしまった当時の世論にほかならない。

 2007年の論壇を賑わした赤木智弘氏の「『丸山真男』をひっぱたきたい―31歳、フリーター。希望は、戦争。」や、2008年6月8日に起きた秋葉原連続殺傷事件に対する中島氏なりの批判的応答とも読むことができる。

 だが、その鋭い筆致は朝日平吾を含む「彼ら」、そして他でもない「我々」の「実存的問い」から生じる鬱屈を見事なまでに描き出している。

 中島氏にとって、歴史研究は「現代日本を直視するためのアクチュアルな作業そのもの」であるというが、その過程で「ロスジェネ世代」としての強い問題感心が刻み付けられた結果、本書は近代日本および現代日本を語る上で避けられない第一級の歴史書となった。

 中島氏がいつの日か完全な形で一次史料を手に入れ、本書をより精緻な形で世に送り直す日が来ることを強く望む。

 そして来るべきその時が「テロルの時代」たり得ることのないよう、我々は今まで以上にともに考え、ともに悩まなければならないのだと感じた。
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