戦前戦後と日本の歌謡曲を引っ張ってきただけでなく、日本にジャズやブルースやバラードの音楽をもたらせた第1人者です。偉大な作曲家・服部良一の功績を後世に残す意味合いが、このステキなアルバムの登場に込められています。オールド・ファンは当然として、若い世代にもその素晴らしさを感じ取ってもらえる契機になるでしょうから。
メロディ・メイカーであった服部良一の業績の素晴らしさを知るための貴重な音源でした。「服部良一生誕100周年記念企画」の3枚組の全63曲のラインナップの豪華さをみればそれが実感できますし、日本の音楽界の歩みを知るという特別な意味を持っているのです。
SPレコードを音源としていますので当然針音は入りますが、これらの貴重なオリジナルの音源を聴くことができるわけですから、皆了解のことでしょう。曲によっては結構綺麗な音になっていますので、聴感上の支障はあまりないと思いました。
霧島昇、淡谷のり子、渡辺はま子、高峰三枝子、藤山一郎、二葉あき子、笠置シヅ子など、懐かしい歌手たちの勢揃いです。知らない曲もありますが、洋楽のリズムを巧みに取り入れ生み出された珠玉の楽曲群からは、時代の閉そく感とやるせなさを吹き飛ばす魅力が感じられました。
作編曲だけでなく、村雨まさをのペンネームで「買物ブギー」などの作詞も手掛けています。ここにも歌謡界の巨匠の溢れるばかりの才能が輝いています。ブギウギのリズムをこれほど見事に日本語に置き換えて音楽にのせた技術はまさしく職人芸でしょうから。
リーフレットの詳しい解説は、音楽評論家の瀬川昌久さんの手によるものでした。24ページというボリュームです。1曲1曲の説明を感心しながら読みました。瀬川氏の素晴らしい蘊蓄と博識の披露もまたこの企画の価値を高めています。