月岡芳年の『和漢百物語』は、実にキッチュで現代的な感覚で描かれた浮世絵でした。
解説執筆の京都造形芸術大学准教授の菅原真弓氏の「月岡芳年と『和漢百物語』」によれば、「芳年初の本格的な、かつ彼の画業の初期を代表するシリーズ」と位置付けていました。
月岡芳年は1839年生まれで、歌川国芳に弟子入りし、画号から1字をもらっていることから伺えるでしょう。「血みどろ絵」で有名な芳年ですが、確かに国芳の個性的な画風の影響は見てとれますし、時代が国芳や芳年の良さを評価するぐらいに追いついてきたのだと思います。怪談絵ですし妖怪が一杯登場しますので現代の劇画や漫画の先駆としてみても成立すると思いました。日本だけでなく中国にも題材を求めているので「和漢」となるわけですが。
61ページの「頓欲ノ婆々」は「舌切雀」の登場人物で「ももんがあ」などはまさしく妖怪漫画の世界でした。
監修は版画のコレクションで有名な町田市立国際版画美術館で、本書掲載の27点は全て同館の所蔵品でした。オールカラーで、見開き2ページで1つの作品を紹介しています。タイトル、検印された年月、画讃と画讃の現代語訳が付されています。描かれた題材の主人公(振り仮名つき)やテーマ、イメージなど現代人にとってその背景が掴みづらい作品になっていますので、分かりやすい解説とその時代背景などが詳しく書かれている解説はとても参考になるでしょう。