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13 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
芥川賞に引導を渡した歴史的作品の1つ,
By cj3029412 (栃木県宇都宮市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 月山・鳥海山 (文春文庫 も 2-1) (文庫)
第70回、昭和48年下期の芥川賞受賞作品です。この作品と第74回の中上健次「岬」をもって、芥川賞はその歴史的使命を終えたのだと僕は思っています。いや、それ以前にも芥川賞は実は見るべき作品は少ない。第59回の丸谷才一、第38回の開高健、第32回の小島信夫と庄野潤三(歴史に名を刻む回だ)、第31回の吉行淳之介、第28回の松本清張、第25回の安部公房、第6回の日野葦平、と、日本近現代文学史の稜線を、試みに引いてみて、これくらいだろうと独りごちてみる。好みが入っているのは認めるが、「月山」以後の稜線が弱いのは、どうしようもない。 そうして、好みの作家を並べて受賞作を思い浮かべてみても、「月山」は屹立している。それでいてその名のごとく山懐は深く、本然としてその姿を容易にはあらわさない。小島信夫さんの解説もまたすばらしい。 ちなみに、どこかで柄谷行人が森敦の「意味の変容」をほめていた。だからというわけではないが「意味の変容」は確かにすばらしい。けれど、柄谷先生も認めてくれると思うけれど、それを目の前に見せてくれた「月山」は、「意味の変容」よりももっとすばらしい。批評や評論と文学の関係はこうでなくてはならない。 こんな作品は、どうがんばっても、書けない。
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
幻想的な世界,
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レビュー対象商品: 月山・鳥海山 (文春文庫 も 2-1) (文庫)
山形県庄内地区旧朝日村の四季とともに、幻想的な世界が広がる。その幻想は村の自然の移り変わりとともに幽玄さが増す。村人の性質や性格が自然と溶け合う。月山麓で繰り広げられる、土着な生活。東北地区独特の粘着質のある世界観であります。寺山修二の世界観に似ています。そして粘着と反するような哲学的な文章。ほんとうに不思議な世界観が紡ぎだされます。 山形県出身者および在住者は必読です。現在話題の山形県ロケ映画である、アカデミー外国語映画受賞作よりずっと東北の世界感を体験できます。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
雪に閉ざされた山奥の村で見た輪廻転生,
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レビュー対象商品: 月山・鳥海山 (文春文庫 も 2-1) (文庫)
雪深い月山に抱かれた村、七五三掛(しめかけ)で、森敦は、ひと冬の間に輪廻転生を見た。 描かれる情景は、比喩も、現象も含めて、すべてが生老病死を描いているようで、 おろそかに読み飛ばすことができない。時々頁から目を離し考える。 生(ばさまの卑猥な歌、若後家の性的な誘い、祭り、ゴムひもや歯ブラシの押し売り 狂ったようにさかりのつく雌牛、密造酒づくり) 老(足の萎えた寺のじさま、毎日割り箸をつくるじさま) 病(甘酸っぱいいとこ煮、狂ったようにさかりのつく雌牛) 死(天の夢を見る蚕、行き倒れのミイラ) 先ず、「生きる」を語る描写が多いことに気づく。 中で、月山はなんの比喩なのか、それともそこにあるという現実なのか。 森敦は、何度かででくる月山を、同じ言葉で形容する。 それはおそらく、ある意図があってのことだろう。 「臥した牛のような月山」 レトリックなら、違う形容にした方が良さそなものなのに 何度出てきても 「臥した牛のような月山」 しかも月山に触れるときは、もう形容は必要ないと思われるのに 「臥した牛のような月山」 月山は変わらないものを象徴しているのである。 それは「死」であろう。 作品の冒頭に掲げられる論語 未だ生を知らず 焉ぞ死を知らん 私なら拙いがこう、訳そう。 「死(す)んでもどうなっが、わがんねべ、ンだがら、とりあえず生ぎてみっべ」 主人公はひと冬を輪廻転生の村で暮らし俗界に戻っていく。 俗界にいるぼくはたまらなくこの村に行ってみたくなる小説である。
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