今まで月刊シリーズは、写真集に「実用性」とやらを求める諸兄にはおおむね不評であった。
コンセプトが既存のグラビアとは一線を画して始まったのだから、
起用される写真家の作家性と一部の読者が求める「実用性」を両立するのは至難であったし、
「実用性」など二の次であった。
今作の『月刊尾形沙耶香』では、藤代冥砂が見事にその両立を成し遂げている。
旧来のグラビア好き諸兄にも大いに満足できる作品であるが、女性やグラビアが嫌いなひとにもお勧めできる。
エロ目線の下品な見方もできる一方、写真作品として批評の対象にも充分になりうる。鑑賞者が試される写真だ。
今まで刊行された月刊シリーズのすべてが、今作のためにあったかのようだ。
モデルの尾形沙耶香は一般的にはまだまだ無名だが、
かつて月刊シリーズで藤代に撮影されてブレイクした井川遥や吉岡美穂のように、
彼女もまた飛躍のきっかけを掴むだろう。
篠山紀信にそのような魔法が使えなくなって久しいが、
藤代マジックは深刻な出版不況の中でもまだ光を失っていない。