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つまり、どれも音楽として、メロディとして、うたごえとしてまず充分に魅力的なんですね。だから、どんなに歌手が自分の内的なものを表現していても、独善に陥らず音楽としてポピュラリティを獲得しているのです。これが素晴らしい。
この「月光」には思春期に初めて思い始める、世界と自分との距離や存在意義について考える主人公がいます。リスナーの私たちにも昔経験のあるような抽象世界です。やはり、何度もいいますがこんな抽象さでポピュラリティを獲得してしまうチカラが素晴らしい。
そしてこれから鬼束を見る目というのは、トム・ヨークが徳永英明が、こうした闇と戦い次々と名盤を生み出してきた前例と比較し、いかに彼女が詞中でその成長を魅せられるか、世界の止揚を図れるか、についても追って注目してゆくべきことでしょう。
特にこの『月光』こそその試金石になるはず。この矛盾だらけの世界に落とされ、葛藤した意味は何に繋がってゆくのか、何を欲するところに使命があるのか。ここから先、鬼束がどんな新しい視野を獲得してゆくかの基準になる歌です。彼女がこんな曲を生んだその根本と、枝である曲の関係。そういうものに注目できる歌手はあまりいませんね。
RADIOHEAD、中島みゆき、徳永英明、イエローモンキー、、、そして鬼束ちひろ。心の闇をうたう音楽にこそ、大衆雑誌のようなアイドルを追う視線ではなく、ジャーナリズムが必要になってゆくでしょう。
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