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月ノ浦惣庄公事置書 (文春文庫)
 
 

月ノ浦惣庄公事置書 (文春文庫) [文庫]

岩井 三四二
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

第10回(2003年) 松本清張賞受賞

内容(「BOOK」データベースより)

室町時代の末。近江の湖北地方。隣村との土地をめぐる争いに公事(裁判)で決着をつけるべく京に上った月ノ浦惣庄の村民たち。領主や山門に足繁く通い、袖の下に銭をばらまき、勝訴に持ち込んだはずが思わぬ横やりが。背後には幼くして村を逐われた男の怨念が渦巻いていた―第十回松本清張賞受賞作。

登録情報

  • 文庫: 324ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2006/04)
  • ISBN-10: 4167679825
  • ISBN-13: 978-4167679828
  • 発売日: 2006/04
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 蜀犬
形式:文庫
歴史小説ってさあ。幕末だったり戦国だったり風雲急を告げたり。武将だったり忍者だったりもう食傷気味。時代小説ってさあ。書き割りみたいなお白州だとか人情だとか(以下略)。

と、文句を言いつつ手応えのある時代物・歴史物を捜している人には、お勧め。これぞ、歴史小説。つまり、出来合いの「お約束」におもねることなく、現在とは異なる制度・社会背景をかみ砕き、物語世界として成立せしめた作者の技量を堪能できます。

 舞台は室町時代の近江の惣村。農民が自治する小さな世界。その或る村に新たな代官が赴任したことから起こった事件は、惣村の構成員、惣村を領有する公家・寺社の荘園領主、実際の支配にあたる代官、その代官職を請け負った金融業者、それらに対する裁判権を持つ室町幕府・・・etcが錯綜する展開を迎え、めまいを誘います。でも大丈夫。本来難解な中世法の世界に自然に引き込む文体が、この作品の魅力。そして、フラットな近代国家に飼い慣らされた現代人の理解を超え中世法理の世界そのものが、最大のトリックなのです。しかも、全ての設定は、網野善彦や笠松宏至・勝俣鎮夫氏らの膨大な中世法制史の研究成果に則っていて、実に周到。(それにしては「家族」の描き方が近代的だなあ、というツッコミは暫く措くとして。)

 ちなみに、月浦の舞台となった近江菅浦は、今も四足門が残り、中世の景色を忍ぶことのできる場所です。読まれた方は、是非。
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
遅読派の小生には珍しく一気読みしてしまった。室町時代の公事(訴訟)という
狙いどころがまずいい。話しもよくできていてはらはらどきどきできる。だれた
ところのないスピーディな展開もグー。高橋克彦のいう「新しい歴史小説の誕生」
というのもうなずける。
 しかし「法廷ミステリの傑作」ってのは明らかに言い過ぎ。我々が法廷ミステ

リに期待するのは、法廷における訴追側と弁護側の駆け引き、それに伴う意外な
展開と謎の解明というところだが、そういうのはほとんどないもの。そもそも謎ら
しい謎もなく、ミステリですらないような気がする。
 人物造形にも物足りなさが残る。特に善玉側のそれがいまひとつ。善玉側の中

心を定めていないのがその一因のように思う。右近か新次郎!どちらかに定めるべ
きではなかったか。

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By uirou VINE™ メンバー
形式:文庫
中世という謎に満ちた時代を舞台に、力強く生き抜く農民を描いた佳作です。
この本を読んで日本人について「農耕民族」という乱暴なくくりをしたがる人たちのことを思い出してしまったのですが、暮らしを守るために時に刀を握って隣村と争い、賄賂をばらまき、口八丁で年貢をごまかし、となかなかどうして農耕民族日本人もしたたかで強烈です。
いつの世も、生き抜くために人々は必死で、一難去ってはまた一難。やーれやれ、と思いながらも何とかやっていく私たちの現実に、「まあまあ、そんなもんよ。覚悟を決めようや」と言ってくれるような、そんな軽やかさと同時に土のにおいを放つ異色の小説でした。
分かりやすい爽快さはありませんが、明日も生きてやろうという意欲が自分にもあることを確認したい方にお勧めします。
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