『阿蘭陀カステラジャパネスカ』
これは本巻に読みきりとして収録されているものだけれど、わたしは中村春菊先生の作品のなかで一番好きです。
日本の幕末を舞台に繰り広げられる異国情緒漂う物語。
オランダ貿易船で日本に寄港した異国人シンジュと藩主の切ない恋物語。
まず設定がおもしろい。いままでにない掛け合わせですね。
おまけに中村春菊先生の作品はどれも間のとり方が抜群にうまいけれど、とくにこの漫画は演出のうまさが際立ってみえました。風景が、キャラクターの表情が、仕草が、沈黙が、言葉で示されない主人公の切ない心情を読者に伝えてくれます。
ある価値観が崩壊したときの心の葛藤という中村先生の根本にあるテーマが見事に表現されている作品だなぁと思いました。
どこか物悲しい作風の作者さんにしてはめずらしく、ほのぼのとした読後感もとてもいい。本編のほうでたくさんの謎が残ってしまったのが残念だったので、全体としては★4つにしましたが、短編のおススメ度は★5つ!
興味のある方はお手にとってみてくださいね。