ひっそりと誠実に生きてきた人に突然スポットライトが降り注ぐ瞬間がある、そんな物語が集められた短編集です。コンビナートの荷役を30年にもわたってひたすらやってきた蟻んこ独身男の前に突然現れた絶世の美女、以前の男が忘れられず思い出と共に過ごしている妻とそんな妻を愛する夫、追われているヤクザを匿うことになった幼馴染の恋人、敗戦で逃げてきた中国の記憶を不倫相手の婚約者に助けられて取り戻してゆく初老の男、婚約者に捨てられた40男と不倫相手にすっぽかされた30女、子供の頃に自分を捨てた母親に再会する娘が母への腹いせにつきあっている男。誰に見られるわけでもないのに、毎日を誠実に過ごしてゆくことがいつか幸せにつながってゆく、そんなことが感じられました。40歳過ぎの方にお勧めです。