アームストロング船長が月面への第一歩を踏み出したのは1969年7月20日。小生3歳の砌でした。リアルタイムでの記憶こそないものの、70年代に少年期を過ごした我々の世代にとって、宇宙や月は、ある意味で今の子供たちにとってよりも身近な存在だったかも知れません。僕たちが大人になった頃には、きっと誰もが月に行けるようになっているに違いない、そんな思いに胸を膨らませていたのは、けっして小生だけではなかったのではないでしょうか。
しかしながら、あれから40年近い歳月が流れましたが、お月様はますます遠くなっていくようです。40年前には人が月に行けたのに、なぜ宇宙開発は今日の袋小路に立ち至ってしまったのでしょうか。
本書は、そんな疑問や焦燥にきちんと答えてくれます。アポロ計画を初めとして、宇宙開発の来し方を振り返り、現状を簡潔に整理するとともに、特に月や火星への有人飛行に焦点を当てつつ、宇宙開発の今後を語ろうとするものです。
先輩レビュアーからの指摘にもありましたが、図や写真が殆ど添付されていないことと、話が飛んだり重複したりという点には、正直、閉口しました。が、全体として平易で分かり易い語り口になっており、また、長年我が国の宇宙開発をリードしてきた著者の、宇宙に対する熱い思いを忖度できるような出来栄えだと思います。初めて有人宇宙飛行に興味を持った方などにはたいへん「取っ付き易い」良い本だと思います。