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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
不可解の面白さ,
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レビュー対象商品: 月と六ペンス (1959年) (新潮文庫) (文庫)
この作品はモームが画家ゴーギャンの伝記に暗示を得て、とある天才の芸術への傾倒から完成までを描いた小説です。とはいえ、客観的にその天才、ストリックランドを描写するわけでもなく、またストリックランドの視点で世間と自身との乖離を書いたものでもありません。ストリックランドの在りかたはあくまで「僕」の視点で書かれています。これから読まれる方は「僕」の物書きらしいシニカルな世俗の捉え方にクスリと笑いながらも、そこからはるかに飛び抜けているストリックランドの行動、考え方に驚かされると思います。特に印象的なのは「僕」とストリックランドの対話のシーンです。ストリックランドの不可解さを不快に感じながらも、その突き抜けッぷりに「僕」と同じくどことなく興味をそそられている自分がいました。 物語の中でストリックランドの考えについては「僕」によって一応の説明が語られていますが、彼の不可解さはそのままにしておきたいとも思います。芸術家に限らず人間の持つ不可解さというのは、ある種の楽しみであり、下手に言葉にしてしまうとおとしめてしまいそうですので。「僕」の一人称による構成の妙だけでなく、この楽しみを味わう意味でも是非ご一読されることをお勧めします。
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