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月と六ペンス (岩波文庫)
 
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月と六ペンス (岩波文庫) (文庫)

by モーム (著), 行方 昭夫 (翻訳)
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Product Details

  • 文庫: 416 pages
  • Publisher: 岩波書店 (2005/07)
  • ISBN-10: 4003225422
  • ISBN-13: 978-4003225424
  • Release Date: 2005/07
  • Product Dimensions: 5.8 x 4.2 x 0.8 inches
  • Average Customer Review: 4.9 out of 5 stars  See all reviews (12 customer reviews)
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5.0 out of 5 stars “月”と”六ペンス”:夢と理想、そして現実との意匠こそが人生である, 2007/5/20
By 一大学講師 (神奈川県) - See all my reviews
『月と六ペンス』の刊行に魁けること6年、モームは38歳にして『人間の絆』の執筆に取り掛かっている。3年後の41歳の時分、後者が前者に先立って世に出ている事実は、結果論からすると、人生の妙とはまさにこのことであろう。なぜならば“モームの最高傑作”とされる『人間の絆』の出版当時の評価は決して高くはなく、モーム44歳、『月と六ペンス』の刊行後に、初めて彼は作家としての名声を不動にしたからである。モームは『人間の絆』出版の翌年(42歳)、『月と六ペンス』の執筆の為に早速タヒチ島に赴いている。これは後世に永遠の名著となった『人間の絆』の延長線上に、本著『月と六ペンス』があった事実を如実に物語っている。“人生には意味はない。故に「人生」という名の異なる意匠のペルシャ絨毯を、個々人が各々に作り上げていけばよいのだ”という『人間の絆』の強いメッセージが、『月と六ペンス』ではゴーギャンをモデルに、彼自身が独特に練り上げたストリックランドという人物の生き様を通して改めて主張されている。かつての私小説的な精神的吐露が、より親しみやすい“文学”としてここに結晶化したのである。普通のサラリーマンであった“はず”のストリックランド。しかし40歳での“目覚め”を経たのち、彼は仕事を辞め、家族をすて、かつての志であった画家としてタヒチで魂の日々を過ごす。その地で“壮絶に”朽ち果てるものの、彼にとってみれば、自己に回帰し、自身に忠実に生きた、すこぶる有意義な生涯であったのだ。「月」は夢や理想、「六ペンス」とは現実のことを意味するという。本著者のモーム自身は「月」ではなく、91年間の生涯を「六ペンス」として生きることを選択した。これもまた彼自身による“ペルシャ絨毯”なのだ。両書を合わせ読む。すると、自己にもっと忠実に生きて『サミングアップ』したかったのかもしれない彼との会話を、より一層楽しめることだろう。
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22 of 27 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 人生かけるってこういうこったね, 2003/8/8
By ★くん - See all my reviews
(TOP 1000 REVIEWER)   
ゴッホにしてもしかりだが、芸術家という奴は、ほんとうに後先考えず表現の世界へとヒタスラ突っ走る。吉本隆明が10年一つのことを真剣に出来れば、絶対に成功できると言っていたが、実際に一つのことを真剣に続けて行くことほど難しいことはない。常識や思い込みが邪魔をして、世の中の相当数の人間は持てる能力のほとんどを眠らせたまま終始していくのかもしれない。

この小説にてモームが描きたかった一つのテーマは、芸術家の破天荒さではない。一つのことに人生をかけようと決心した人間の凄まじさだ。家族もち定職もちの中年のおっさんが、まったく経験のない芸術の世界へと駆られて家を飛び出し、そのまま命を削って日々絵を描き続けるのだ。あざけられ、見下され、同情され、それでも彼は一向に気にしない。ホントにコイツ元凡人か?っと疑いたくなるほど、主人公の人生観はストイックに徹底している。もしかしたらこれがニーチェの言う超人論なのかもしれない。

彼は作品を褒められてもけなされても、同等に気にしない。かたや自己満足なナルシズムに溺れて、その手段として芸術を利用しているわけもない。ようするに啓示という奴が降りてしまったのだ。もう望む望まずに限らず、絵を描くことは天命になってしまったのだ。どうして?ナンデ?理屈でも気持ちでもない。

かねがね芸術という奴はそういう物だと思ってきた。何か明確な理由があるわけでも、必用があってやるわけでも、生活のためにするわけでもない、もうそれはそれぞれの表現者の抱える密かな任務なのだ。だから成功しようがしまいが、関係ない。非道徳だろうが背徳だろうが、関係ない、辛かろうが厳しかろうが、関係ない。ミジメだろうが愚かだろうが、関係ない。誰かに褒めて欲しいわけでも、存在証明が欲しいわけもない。

火がついたら、燃えつきるまで、燃え上がるしかないのだ。
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18 of 22 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 本物の古典, 2005/9/11
By daepodong (DPRK) - See all my reviews
(TOP 100 REVIEWER)   
 新訳が出たのを機会に、20年振りくらいに読んでみた。昔は、あまり海外の小説を読んだ経験がなかったので、「何とスケールの大きな小説だ。これが本物の小説だ」などと思った記憶があるが、今読み返してさほどそのような印象は持たない。
 そのかわり、例えば訳者が解説で「面白くない」と触れる第一節、イギリス人の料理下手を皮肉るところなどは、イギリス料理のひどさ(失礼!)を知った今となってはとても笑えた。
 しかし小説の内容は、モームが所々はにかみを見せ、ユーモラスに書いていることとは裏腹に、「人間とは? 芸術とは? 幸せとは?」と深刻な問いを突きつけてくるシリアスなものだ。しかし決して小説としての面白さに欠けるところはなく、むしろ一度読み始めたら途中で中断できなくなる。作者の世界に否応なく引き込まれてしまう。おそらく、また十年後、二十年後に読み返した時、まったく違った印象を受けるのだろう。さらに、今から百年近く前の作品とは思えないほど、まったく古めかしさを感じない。本物の古典とはそういうものであろう。
 もちろん本来は原語で読むべきだろう。翻訳でも原著の魅力は十分伝わってくるとわたくしは思う。以前の訳との違いなどはさすがに記憶にないが、一点だけ気になったのは、たぶん"lepra"の訳と思われるが、「ハンセン病」。ここは、いくつかある、差別的意味を含んだ訳語の中から選んだほうが「文学的には」正解だろう。
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Published on 2000/11/30 by skis

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