患者本人として、どうすれば最高の医療が受けられるか。
病気にかかったとき、誰しもが現今における最高の医療を受けたいと望むだろう。しかし自分にとって最高の医療とは何なのかを考え、それを実際に受けられる方策を求め行動を起こすことは、至難の業である。本書はそれを可能にする、羅針盤である。
そもそも最良の治療法を判断するのは誰か。それは「最終的にはあなたしかいない」と筆者は説く。筆者はこの一冊を通して、患者本人の主体性を促す。いかに本人が自分の病気を理解し、治療の経過を熟知するか、そしていかにして医療従事者とともに治療の意思決定に関わっていくか。
「いま現在、病気のあなたが、よりよい治療を受けるために、現状の医療制度の中でできることは何か。それは、自分の行動を変えることです。あなたの行動一つで、受けられる医療は大きく変わるのです。」
ではこの本を読んだ瞬間から、自分の本当に満足のいく医療を受けるに至るまで、どう行動を変えればよいのか。筆者は9つのステップを用意している。そこでは、「必要な情報を病院で集めるコツ」「『自分のカルテ』を自分で作る」「(治療法の)選択肢を理解したら、医師に自分の希望を伝え、納得して治療を進める」など、医学知識がもともとあるわけでなく、弱い立場にいる患者にとって、これまで聞いたこともないほどの心構えや行動が示される。しかし読み進めるにしたがって、そのどれもがしごく理に適った、誰もが容易に踏み進めることのできるステップだということが分かってくる。
病とともに歩む上で、患者は暗夜をゆくごとき不安を持つ。筆者は真に病を持つ人々のことを思うがんの専門医として、ここに明確な指針を示し、万人が病と向き合い納得した上で満足のいく医療を受けられるよう、行路を照らした。必読の書である。