身も蓋もないタイトルですが、内容もそのままです。最近の粉飾事例を、いくつかの類型(資産水増型、売上水増型、売上先行計上型、局地型、会社ぐるみ大規模型)に分け、回転期間・キャッシュフロー分析を中心に、公表されていた決算内容から粉飾の兆候をあぶりだそうとしてます。
その意味では、一種の財務分析本と言えるかも知れません。しかし、実際の粉飾事例ですから、教科書的なケースとは異なり、はっきりと「粉飾だ」と断言できるような単純な粉飾は少なく、「兆候は見られるが断言はできない」的なあいまいさが残ります。それでも、破綻や決算修正に至った事例については、推定結果と実際の数値の整合性を検証しており、一定の分析効果を確認できる形となっています。なお、破綻・粉飾公表を行っていない一部事例は仮名になっています(東日本ハウス、JDC信託、アイ・ビー・イーの3社)。
一応、話題になった粉飾事例としてカネボウとライブドアを採り上げていますが、その筆致も淡々としたもので、「粉飾」をドラマチックに描き出すといったエンタメ性は皆無です。しかし、「上場ベンチャー企業の粉飾・不正会計、失敗事例から学ぶ」(中央経済社刊)のようなただ粉飾事例の羅列が続くだけの本とは異なり、かなり踏み込んだ分析を行っているので実務的には参考になると思います。財務分析に興味のある方にお勧めします。