久々に面白い官能小説を読んだ、という感じ。
話としては誘惑系に属するんだろうけど、〜系といった枠にとらわれない面白さがある。
筋としては恋人に振られたトラウマからモラトリアムな社内引きこもりと化した主人公が、面接で一目惚れしたヒロインにセクハラ上司装う羽目になり、それをきっかけに女関係のごたごたに巻き込まれて頭を抱える姿をユーモラスに、かつ羨望的に描いてある。
ヒロインは勿論良い感じなのだが、なんと言っても途中から二人の間に割って入ってくる彩乃が良い!大抵の作品では、メインヒロインに絡んでくるサブヒロインは所詮付け足しというか、余計と思える場合が多いのだが、この彩乃に限ってはそんなことはない。
お嬢様育ちで気が強く、美人で優秀なせいか挫折という物を知らず、我の強いわがまま女に育ってしまった彩乃が、良い感じの二人への絶妙のアクセントなのだ。ヒロインへの対抗意識も手伝って、主人公を誘惑してくるシーンは傲岸さの中に不慣れな初々しさが漂ってグッとくる。とはいえ、惹かれ合う主人公達の前にどうせ振られちゃうんだろうな〜と言う感じが可哀想やら、おかしいやら……。
最後の方で彩乃の悪戯に怒った主人公が強引にやっちゃう辺りは、陵辱ファンも納得の出来。とにかく見せ所満載、かつストーリーも良い。読んで損はない。
あと、題名はもちろんヒロインとの出会いのことなのだが、社内引きこもりと化した主人公の復帰への道筋という意味でもある。官能小説は、手に取るのを思わずためらってしまうような題名がつきがちだが、こういう抑えた、そしてなおかつ深い意味を持った題名だと手に取りやすい。出版社は一考を。