舞台は南米ウルグアイ、登場人物のバックグラウンドもドイツ、フランス、イラン、タイと様々ですが、それぞれの文化の色はさほど強く出ておらず、そこは特に抵抗を感じる必要はないと思います。逆に、異国情緒を味わいたい方には期待はずれかもしれません。
一言でいうと、平和とも停滞ともとれるような時間の流れる、閉鎖された小さな世界に、ひとりのよそ者が現れることにより、そこの人々に変化が起こっていく、という話です。
主人公は アメリカの大学院生でイラン生まれのオマーですが、老若男女6人の群像劇といってもいいと思います。みなそれぞれに少しいびつで、ですがそれゆえに魅力的な人たちです。劇的な事件が起きるわけでもなく、文章も静かで控えめですが、6人それぞれの気持ちが、最初はわずかながら、やがて大きく変化していく様はスリリングですらあり、知らず知らずのうちに引き込まれます。
新しいものを手に入れるためには、今持っているものを捨てなくてはならない。それには、肌になじんだ、自分の匂いの染みついた古い毛布を捨てるときのような寂しさがともないますが、それでもそうやって歩いていくことが生きていくとこなんだ、などと思いました。・・・まとめが少しカッコよくなりすぎましたが、軽やかでありながら深みのある、とてもおもしろい本ですので、「読んでみようかなあ、やめとこうかなあ」と思っていらっしゃる方は是非!読んでみてほしいです。