ダイヤモンド警視シリーズ最新作。何と彼の妻ステファニーが銃殺されてしまう。おまけに捜査の過程で彼が容疑者にされてしまうという、シリーズファンには耐え難い展開だ。 事件の主任捜査官はただでさえ反りの合わない警部(警察と言う階級組織の中で、自分が警視なのに「反りが合わない」という理由であからさまに対立してしまうのもなんだと思うが)。その捜査に満足できるはずもないダイヤモンドが、独自に捜査を進めるうちに、いくつかの線が浮かんでは消える・・・ 大事なのは、シリーズ物を読む楽しみというのは、毎回違った事件が起こる中で、主人公とそれを取り巻く人間たちは変わらない、という部分だということである。その一角に手を付けてしまうという大胆すぎる行為には、作者にも、読者の納得できる理由があると考えたい。 いつもながらプロットは見事で面白かったし、ちゃんと犯人も動機もわかるが、「何でわざわざ今更シリーズキャラクターが死ななければいけなかったのか?しかもそれが何故警視の妻でなくてはならないのか?」という読者の最大の疑問には何らの答えもなかったと思う。 新局面を開きたい時期かもしれないにせよ、その方法がわざわざ警視の妻を殺すということなら、それこそ作者はこのシリーズを10作でも20作も続けるつもりがあるのだとしか思えない。是非、既に本国では刊行されている次作の訳者あとがきででも、そのあたりの疑問に対する何らかの答えがなされることを期待する。