この本で知った地下鉄にまつわるトリビア10題:
(1) 世界で2番目に古い地下鉄があるのは、パリでもニューヨークでもモスクワでもなくて、ハンガリーのブダペスト。
(2) 世界で2番目に古い地下鉄になりえたかもしれないのに、そうならなかったのは、ウクライナの首都キエフの地下鉄。
(3) 世界で3番目に古い地下鉄があるのは、パリでもニューヨークでもモスクワでもなくて、スコットランドのグラスゴー。
(4) 輸送人員が世界最大の地下鉄は、東京でもロンドンでもニューヨークでもなくて、モスクワ。
(5) ウクライナには地下鉄を有する都市が4つもある。
(6) ブエノスアイレスの地下鉄では、東京の丸の内線や名古屋の東山線・名城線で使われていた車両が、再利用されている。旧丸の内線の車両などは、塗装も元の赤い色のままである。
(7) 路線数と保有車両数で世界最大なのは、東京でもロンドンでもなくて、ニューヨークの地下鉄。
(8) 世界のなかで24時間運行をしている地下鉄は、あいかわらずニューヨークおよび隣接するニューアークの地下鉄だけである。
(9) ピョンヤンの地下鉄の駅名は、地名ではなくて、北朝鮮の革命思想のテーマにちなんで、名づけられている。「建国」「革新」「赤い星」「凱旋」「統一」「勝利」「栄光」など。このような命名の仕方は世界でも例がない。
(10) 中央アジアで唯一の地下鉄を持つウズベキスタンの首都タシケント。ここの地下鉄駅の天井絵、シャンデリア、壁画などの内部装飾はモスクワ地下鉄に匹敵するくらい立派なものである。
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私はいわゆる鉄道マニアではない。でも、子供時代から地下鉄に乗るのは好きだった。生まれ育った名古屋の地下鉄では、乗車するとシートを汚さないよう靴を脱ぎ、座席に前後逆向きに膝立ちの姿勢になって、窓の外の暗いトンネルが轟音の中をびゅんびゅん通り過ぎるのを飽きずに眺めていた。
すこし年長になると、地下鉄路線図を眺めるのも好きになった。ロンドン、パリ、ニューヨーク、ワシントン、ベルリン、ローマ、マドリード、北京、香港、……。世界の大都市を訪れるたびに、その街の最新版の無料の地下鉄ルートマップを空港や駅で入手するのが習わしとなった。とくにロンドンの路線図は、デザイン的にも優れていて大好きだ。この本では収録全都市の地下鉄路線図を美しいカラーで見ることができる。
2005年5月発行。世界の地下鉄の最近の状況を、豊富なカラー写真付きで、包括的・網羅的に紹介してくれる。マニア向けのデータも満載。地下鉄好きなら必見の本だ。
欲をいえば、世界のおもな地下鉄事故に関する記載も含めてほしかった。たとえば、2003年の韓国・大邱(テグ)市地下鉄の放火事件(死者192人)については、短い記述がある。けれども、1987年のロンドン・キングスクロス駅火災(死者31人)や、1995年アゼルバイジャン・バクー市地下鉄火災(死者約300人)についての記述は見あたらない。地下鉄を語る場合、重要なデータだと思う。