ある法律を学ぶ上では,その法律が,実際の裁判例のなかでどのように適用されているのかも見る必要がある。立法と判例はいわば車の両輪の関係にある。とくに,労働法の領域では,法律の規定をみていてもわからないことが多く,裁判例をみることが不可欠である。数多くの裁判例を気軽に参照できる・・・本書は,まさにこうした特徴をもつ。こうした取組みは,本書がはじめてというわけではないが(典型的には,有斐閣の100選シリーズ),本書の魅力は,十分に信頼できる著者がたった1人で書き下ろしているという点であろう。1つの本の中で,解説者によって視点が異なっていたり,記述が無駄に重複しているという弊害を克服している。また,すべての裁判例が1頁にまとめられており,各裁判例のポイントが一目でわかる工夫もある。実際に手元に置いてみて,迷ったときに確認するのにとても便利だと感じている。資格試験の受験生や,大学での講義の副教材として最適の1冊といえる。