1985年、私は大学3年のときにフランクフルトへの往路とロンドンからの帰路のエアチケットを手に、東西ヨーロッパを5週間、バックパックを背負って旅しました。初めての海外旅行、初めての一人旅でした。
経済的に恵まれているわけではない学生の旅といえば当時はバックパッカーをするしかないという時代でした。
本書『最新版 バックパッカーズ読本』をひもとき、私の旅から四半世紀を経た2010年にバックパッカーたち向けに指南されている事柄を読むと、実に隔世の感があります。
パソコンを持参することの長所と短所、LCC(ローコストキャリア)の使い方、クレジットカードの利用法、アジアの宿のあれこれ等々についての情報がこれでもかと記されていますが、PCもLCCもカードも日本人宿もあの頃の私の旅にはありませんでした。
本書にはCouchSerfingなるネットのSNS的存在まで紹介されていますが、えっちらおっちらアナログな旅を続けていた身からすると、まるで近未来小説を読んでいるような不思議な気分になります。
西ヨーロッパ編と大くくりされた大部の「地球の歩き方」くらいしか現地情報を得る術(すべ)がせいぜいなかったあの時代に比べれば、今の若いバックパッカーたちは手軽で安価に旅情報を手にすることが出来るようになったということがよくわかります。
しかしそれにもかかわらず、今の若者たちは私たちの世代に比べると海外をバックパック旅行しなくなっているようです。その理由については先日読んだ山口 誠著『
ニッポンの海外旅行 若者と観光メディアの50年史 (ちくま新書)』に綴られていて腑に落ちたところがありますが、体力と好奇心が旺盛なはずの若者たちにぜひとも一度本書『最新版 バックパッカーズ読本』を開いて見てもらいたいものです。