理不尽な取締りを受けなっとくもいかず違反キップを切られた諸氏も多いことだろう。
本書でも出てくるが交通取締りの目的は「危険運転者の排除」である。確かに警察官のノルマはあろうが、その場で危険と判断されれば取締りの対象にならざるを得ないのだ。いくらドライバーが理不尽と感じてもだ。だが、しかし、ドライバー側としては文句のひとつも言いたくはなる。明らかにスピードの出しやすくなる道路、例えばいきなり道幅が広くなるが40キロ制限のまま、など田舎の道路ではよくあることだ。ここに張っていて「はい。◯◯キロ超過」と言われたらどうだろう。こういった状況こそが「なんでこれが交通違反なの!?」と言いたくなるはずだ。まさしく道路行政(交通行政)という点で不手際・手落ち(道路の拡張工事が途中という現場もあるが)であるはずのものが、取締りのかっこうの場になってしまっている。
だが、本書ではこのような事例は一切取り扱ってはいない(木が生い茂って標識が見えなかったという項があるが、これはドライバーの詭弁にすぎない場合もあるから判例まで持ち出すのはちょっと大袈裟すぎる)。
序章では違反の基礎知識と題して様々な事例に対して、「こうなりますよ」と解説しているが、ほとんどが裁判になった際の判例を幅広く(解釈し)説明しているにすぎない。
次章からは主な違反(スピード、駐車、飲酒)についてのこんな質問、あんな質問に答えているだけだ。この中に読者が疑問に思っていることがあれば参考になるだろうが、筆者としては物足りなさを感じた(ここでも判例を参考に解説しているだけだ)。
どこに感じたかといえば、行政によるワナとも言えるような前出の場合だ。このような具体例でもって対処法が書かれていたらおもしろい内容だとおもうのだが、溜飲が下がるまではいってない。スピード違反などデータという証拠が残るような場合を除いては警察官とドライバーの水掛け論のなる場合がほとんどだ。このような場合の対応策などが書かれていればおもしろいのにとおもうのは筆者だけだろうか?
著者の経歴によると本書の解説には裁判の傍聴による判例をよりどころとしているようで、最終章にも裁判になった場合の身構えや心構えが記されているが、裁判まで持って行ってまでも何としようという、こじれた件については参考になる内容となっている(実際には本書だけでは物足りないが)。
たかが交通違反で裁判も辞さずというヒマとカネを持て余したドライバーはそうはいないだろう。
せめて警官に悪態をつくぐらいがせいぜいだ。
もともと本書を読んで参考になったと思うドライバーがいたら、それは車を運転することに関してあまりにも無頓着と言わざるを得ない。
筆者は近年、大型免許を取得したことで車が道路を走る「無軌道上を自由に動き回る」ということの責任と他者(車)へ与える影響(恐怖)というものを改めて知る機会となったが、そんな経験をふまえて読むと本書があまりにも無自覚なドライバー向けに編纂されたものだと感じたのがホンネでもある。